2007年05月22日00時31分掲載  無料記事
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イスラエルはパレスチナ組織同士の消耗願う?

 パレスチナの挙国一致内閣を構成するハマスとファタハの2大組織が相互に殺戮し合っている現状は、イスラエルにとって願ってもない事態だ。パレスチナのハマスがイスラエル入植地へロケット弾攻撃を敢行しイスラエルに相当な被害が出ているにもかかわらず、イスラエルがハマス側に限定的な報復攻撃しか行っていないのは、自軍を危険に晒さないでこのパレスチナ二大組織の内部殺戮の継続を狙ったイスラエルの戦術であるとイスラエルの軍事専門家らは観測している。16日付のイスラム・オンラインが報じた。(齊藤力二朗) 
 
 軍事解説者のアルーヌ・ブン・ダビデは、イスラエルのチャンネル10テレビにイスラエル国防省の高官の話として15日夜、以下のように述べた。 
 
「ハマースの軍事部門である『アルカッサーム大隊』がガザ地区北のイスラエルのサディルート入植地へロケット弾攻撃したことに対して、ファタハとハマス間のパレスチナ内部の戦闘継続にマイナス効果を与えないことを条件に、イスラエル軍は報復攻撃を決定した」 
 
 イスラエル軍・治安機関がサディルート入植地砲撃への報復として決定した作戦の中には、アルカッサーム大隊の幹部や、ハマスが支配する内務省所属の執行部隊の幹部殺害を狙った作戦がある、とメディアは報じていた。 
 
 イスラエルはこの戦略の一環として16日午後、F16戦闘機によりガザ地区のラファハの執行部隊(ハマス系)施設を空爆し、5人のメンバーを殺害、数十人を負傷させた。 
 
 16日午前イスラエル放送はオルメルト首相事務所情報筋の話として、イスラエルにとってパレスチナ内部の相互殺戮の重要性を強調し次のように伝えた。「ハマスの弱体化に繋がるし、イスラエルの軍事行動に出る必要性も減るので、パレスチナ内部の殺し合いはイスラエルにとって願ってもないこと」 
 
 ガザ地区への広範囲な軍事行動に関してはイスラエル内部でも意見が分かれているが、国内治安機関、シャバクのディスキーン長官は、「ガザ地区のテロリストに対するイスラエル軍の最大規模の軍事行動の成功も、パレスチナ内部の殺し合いよりもよい結果をイスラエルにもたらすことはない」と述べ、オルメルト首相に、パレスチナ人同士が全ての精力を内紛に費やすのを待ち、その後軍事行動を起こす必要があるかを検討すればよい旨助言している。 
 
 14日にはファタハ・ハマス間の殺し合いで14人が犠牲になり、11日の内紛再発以来停戦は実っていない。この内部紛争は、今年の3月にファタハとハマスが内戦に繋がる恐れのある暴力の応酬を終了させるために挙国一致政府を形成して以来、最悪のものとなっている。 
 
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