2007年05月28日12時24分掲載
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マレーシアで外国人労働者が餓死
【クアラルンプール28日=和田等】マレーシアで最近、外国人労働者が雇用者に酷使され、死亡した。外国人労働者を支援するマレーシアの非政府組織テナガニータによると、外国人労働者から昨年寄せられた賃金未払いや雇用主による暴力・虐待、不当な賃金カットなどに関する訴えは500件を超えているという。
マレーシアの北部にあるケダ州グルンで4月下旬、インド人労働者ガネシュ・クマールさん(28)が死亡する事件が起きた。雇用者らは、2月5日から4月10日にかけてガネシュさんに棒や籐製のムチ、金属の鎖を使って虐待したり、ろくな食事を与えずに餓死させた。
既に雇用主でソース工場の所有者、ラジャン被告(45)とその妻のガネスワリ被告(45)、息子のビジャアル被告(20)がペナン州バターワース地裁に起訴されている。公判は6月5日に開かれ、3被告が有罪と認定されれば、2年の禁固刑などに処される。
この事件をめぐり、フォン・チャンオン人的資源相は5月26日、労働者を虐待した雇用主は会社名・個人名ともにブラックリストに載ると述べるとともに、労働局に対し、労働現場の管理徹底を指示した。
マレーシア労働組合会議のラジャセカラン書記長は、マレーシアで働く外国人労働者は一般的にみすぼらしい状況に置かれていると指摘。外国人労働者からの訴えがあっても入管は、悪徳雇用者を捕まえ訴追することは難しいといった「受け入れがたい言い訳」をして、外国人労働者の置かれた状況の改善に取り組もうとしないと、不満の意を表明している。
外国人労働者の中にはパスポートや労働許可証、賃金を雇用主に抑えられている者も少なくなく、出入国管理局など関連当局に訴え出にくい状況に置かれている。
記者が3月に日本で出会ったネパール人労働者は、「マレーシアに出稼ぎに行っている同胞の多くは十分な教育を受けられなかった人が多いことから、権利意識も低く、雇用主にパスポートを管理されることを当然として受け入れてしまっている。そこから数々の問題が生じているという話を聞いている」と語っていた。
在マレーシア・インドおよびネパール高等弁務官事務所では、自国労働者からこうした訴えが寄せられた場合、会社側と連絡をとり仲裁に努めるが、これが不首尾に終わった場合には出入国管理局や労働局に届け出ることにしているという。
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