2007年05月28日17時07分掲載
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橋本勝21世紀風刺画日記
第49回:脱走兵に、米国の良心と、希望を見る
イラク戦争も5年目に突入した。情勢は悪化するばかり、ブッシュ米国の始めた戦争は完全な失敗である。米兵の戦死者は3500人に迫ろうとしている。だがこの数字以上に米軍にとって深刻なのは、8000人というイラク開戦以来の脱走米兵の数だ。
脱走というのは最悪の場合、銃殺刑になりかねない重罪である。生半可な覚悟でできるものではない。8000人それぞれの思いと事情があるのだろうが、主な理由の一つとして、戦場での死の恐怖よりも、大義を感じられない戦争で、住民(特に女性と子ども)を殺害してしまうことへの拒否感があるという。戦う当事者の米兵からの、この戦争への強い異議申し立てである。このことは今後さらに激しく、多くなるだろう。なにやらベトナム戦争の末期に似てきた。
しかし、これはたとえ国家の命令であろうと、個人の信念に反することはできないという、勇気ある実践といえる。その勇気の源泉にあるのは、人間らしい豊かな感受性と、他者の苦しみへの想像力なのである。(橋本勝)
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