2007年05月29日12時24分掲載
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ベトナム研修生ら切り捨て 是正勧告受けトヨタ系協同組合 時給300円で働かされ、帰国で残る借金
【ベリタ通信29日】ベトナム人を研修生や実習生の名目で最低賃金以下で働かせ、労基署から「是正勧告を含む強い指導」を受けていたトヨタ系の豊田技術交流事業協同組合が、5月25日、約40人の女性を中心としたベトナム人研修生・実習生らの研修・実習を打ち切り、帰国させる方針を決めた。ベトナム人研修生・実習生らは、「3年間日本で働けば必ず返せる」と言われ、送り出し機関に100万円以上の保証金・紹介料を借金して支払い、日本に研修にやってきた。帰国でベトナムの平均的な年収の数倍の借金だけが残る結果になる。アジアからの研修生・実習生問題に取り組む団体からは「トヨタは罪を隠すために『研修生』を切り捨てようとしている」との批判の声が上がっている。
今回のケースでは、1年目の研修期間は時給300円、不払い残業もめずらしくなかった。「逆らえば強制送還」と研修生らは脅され、強制貯金やパスポート取り上げ・セクハラなど、職場で横行するさまざまな人権侵害を受けてきた。そのあげくの帰国措置は、研修生らにばく大な借金だけを残すことになる。
愛知県労働組合総連合など支援団体は以下の「緊急アピール」を発表、トヨタの姿勢を糾弾している。
■ベトナム人研修生への支援を求める緊急アピール
http://rodo110.cocolog-nifty.com/viet_nam/
今年5月、愛知県で研修・実習生が突然、研修・実習の打ち切りを通告されました。受け入れ機関である豊田技術交流事業協同組合
(トヨタ系の下請け会社が加盟)が不正行為を行ったためです。その結果、100人とも言われる研修・実習生がばく大な借金(保証料・紹介料)をかかえることになりかねません。
不正を起こした受け入れ機関・企業は受け入れ事業を停止されるだけで、研修・実習生だけがばく大な借金に“泣き寝入り”を強いられるのは「不正のヤリ得」です。
「日本の国際協力・国際貢献の重要な一翼を担う」(JITCO)外国人研修・技能実習制度の趣旨に反し、日本とベトナム国民の信頼と相互交流に大きな汚点となるものです。
この事件の背景には厳しい下請け単価を強いる一方で、トップ企業だけがばく大な利益をあげる産業構造の問題が指摘されています。業界全体としての責任も免れません。
私たちは豊田技術交流事業協同組合と加盟企業、JITCOならびに関係業界が責任をもって以下の事項を実行し、今後も日本とベトナムの信頼と相互交流がいっそう深まることを期待するものです。
○研修・実習生達に当初約束された期間の技能実習を受けられるように新たな実習先を早急に確保すること
○研修・実習にあたっては人権と法令を遵守し、不正を一掃すること。
2007年5月28日
呼びかけ人
小中陽太郎(作家、日本ペンクラブ理事)
宮尾 克(名古屋大学教授)
田辺 凖也(アジアボランティアネット東海代表世話人)
*このアピールに賛同する方は、氏名、職業・公表する肩書きとともに以下へ。
送り先 愛知県労働組合総連合
〒456-0006 名古屋市熱田区沢下町9-7 労働会館東館
TEL 052-871-5433 FAX 052-871-5618
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