2007年06月05日22時21分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200706052221312

中国など4カ国を新興観光市場に挙げる 世界観光機関

  【クアラルンプール5日=和田等】6月4日から3日間クアラルンプールで開催された世界ツーリズム会議=世界観光機関とマレーシア観光省の共催=で基調講演した同機関(157カ国が加盟)のジェオフリー・リプマン事務局長補は、かつて2桁成長を謳歌してきた全世界の旅行者数の年率の伸び率は鈍化して4%程度になると見込まれると述べた。理由として、2001年9月の米同時テロ以降の世界的な紛争多発やテロ、新型肺炎SARSなどの病気の流行、地震や津波など自然災害を挙げた。一方、著しい経済成長を受け、中国、インド、ロシア、ポーランドを観光市場として新たに台頭してきている4大市場とした。 
 
 同事務局長補によれば、人口13億、世界2位の購買力を擁するようになった中国では、人口の19%にあたる約2億5000万人が海外旅行する余裕のある中産階級に分類されているが、2010年にはこの層が約2倍になると予測されている。また同機関は2020年までに中国は世界第1の旅行先となり、世界4位の旅行者送り出し国になる見通しという。なお、中国の昨年の海外旅行者数は3400万人だった。 
 
 また同事務局長補は、同時テロ事件を受け、米国が入国手続きを厳重にした結果、訪問旅行者の数が減少。米国旅行をあきらめた中国人旅行者が行き先を日本に変えるといった現象が起こるなど漁夫の利を得る国が出ていると指摘した。 
 
 ブラジルでは、欧州諸国への旅行者が劇的に増えているが、これも米国での入国審査の厳格化を反映している。このまま米国が厳格な入国手続きを実施し続ける限り、ほかの国でも米国旅行を避け、旅行先を別の国に変えると予想されることから、2007年から2010年の間に旅行先の市場シェアに著しい変換が起こるとの見通しを示した。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。