2007年06月11日02時56分掲載  無料記事
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シンガポールのエリート講師を拘束 イスラム教過激思想に心酔

  【クアラルンプール10日=和田等】シンガポール公安当局はこのほど、イスラム教の過激思想に心酔していたポリテクニック(高等専門学校)のシンガポール人講師アブドゥル・バシール・アブドゥル・カデル容疑者(28)を国内治安法により拘束したことを発表。また昨年11月から今年4月にかけてイスラム過激派組織ジェマー・イスラミア(JI)とみられるシンガポール人4人を同治安法により逮捕していたことを明らかにした。 
 
 オーストラリアの公共放送ABCなどによれば、今年2月に逮捕されたアブドゥル・バシール・アブドゥル・カデル容疑者は、シンガポール国立大学法学部卒業後、弁護士事務所に勤務。 
 
 それから講師となったが、昨年になってインターネットの過激派思想宣伝サイトを閲覧するようになり徐々に洗脳されてイスラム過激派思想を受け入れたという。同容疑者はアフガニスタンでテロの訓練を受けるため計画を練っていたとされる。 
 
 同容疑者は過激派にリクルートされたのではなく、自分でサイトを見て理論武装したこと、特定の組織に属していない一匹狼的な過激派分子であることだ。このようなテロ分子が出てきたことに、公安当局は警戒感を高めている。 
 
 一方、逮捕されたJIのメンバーの1人、イシャク・モハメド・ヌーフ容疑者はフィリピンでテロ訓練を受けたJIシンガポール支部の幹部構成員と当局はみている。シンガポール内務省が発表した声明によれば、イシャク容疑者はシンガポールの外国施設の攻撃や航空機を乗っ取ってチャンギ国際空港に突入させる企てなどに関わっていた。 
 
 同組織は、2002年にインドネシアのバリ島で起こり、死者202人を出した爆弾テロ事件をはじめ一連の爆弾テロ事件を実行した。 
 
 シンガポールの国内治安法は、裁判なしで無期限に容疑者を拘束できる法律。 


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