2007年06月25日18時40分掲載  無料記事
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橋本勝21世紀風刺画日記

第53回:国民の安心・人生設計は11ケタの番号で

 5000万件の消えた年金記録問題をこんな形で利用しようとするとは、権力は転んでもただでは起きないと思わざるを得ない。6月22日、政府・与党は、年金や医療保険、介護保険の個人情報を一元的に管理する「社会保障番号」の導入を、2011〜12年度をめどに図ることを検討し始めたという。ICチップ入り「国民カード」を全国民に1人1枚ずつ配布し、これを住基ネットに連携させる。これで年金記録の入力ミスがなくなります、どうぞ国民のみなさまご安心下さい!というわけだ。 
 
 かくて、国民それぞれにつけられた11ケタの番号で、国民全員の情報を一元的に管理できるようになる(国民の思想・信条も管理が可能)という権力側にとっての理想的なシステムが完成する。先日、自衛隊の情報保全隊が国民を監視していたという事実が明らかになったが、国民を管理、監視するのに戦前・戦中の憲兵などが大活躍した体制など作る必要はないのである。パソコンなどのハイテクを駆使した管理社会のユートピアが実現するのだ。ゆりかごから墓場まで国家が面倒を見るから、11ケタの番号が個人の存在証明になるなんて、人間の尊厳への侮辱だなんて言うなかれ。(橋本勝) 


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