2007年06月30日16時41分掲載  無料記事
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「食とワイン」で団塊世代を誘致 豪州が日本人観光客の回復作戦

  日本人観光客に人気のあるオーストラリアだが、その数が今年は昨年と比べ約1割減であると同国政府観光局がこのほど発表した。「安近短」のアジア諸国にに客足が流れるためという。ただその逆境の中で、オーストラリア・ワインの主産地として知られる南オーストラリア州は日本人観光客を滞在日数計算で17%増やすことに成功している。同州は、団塊世代をターゲットに「食とワイン」の魅力で長期滞在の日本人観光客の増加をねらっている。(アデレード=木村哲郎ティーグ) 
 
 「南半球」というエキゾティック感や、隔離された生態系による独特な動植物が見られるオーストラリアは、北半球の先進諸国から多くの観光客が訪れる。観光業はオーストラリアの主産業であり、国を挙げての観光キャンペーンも日本を含めた世界各国で行われている。 
 
 しかし日本人観光客は平成不況の頃から「安近短」を選ぶ傾向が強まり、これは景気が回復している現在も続いている。さらに最近の円安と豪ドル高もオーストラリアに向かう日本人の足を重くさせており、オーストラリアに訪れる国別観光客の順位で日本人は従来の2位からニュージーランド、イギリスに次ぐ3位へと落ちている。 
 
 そのなかで南オーストラリア州への日本人観光客が増加している理由として、同州政府観光局国際マーケティング部のシグリッド・フリード部長代理は日刊ベリタの取材に対し、「ワインとグルメの産地として当地が日本人に注目を浴びている」ことをあげる。オーストラリアは世界第4位のワイン輸出国であり、国際市場に流れているオーストラリア・ワインの7割が南オーストラリア産。そのワインが、ワインが「ブーム」から「日常的な飲酒品」となった日本人に注目を浴びているようだ。 
 
 イギリス人及びカナダ人観光客がオーストラリアで平均20泊するのに比べると、日本人観光客は滞在日数が少ないと以前から指摘されていた。だがフリード部長代理は、今後は日本人旅行者を一括りにせずに、時間と金のある団塊世代を「食とワイン」で魅了することで長期滞在者を増やそうとの作戦を練っている。 
 
【関連】日本の団塊の世代をターゲットに マレーシアの観光誘致策 
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