2007年07月01日14時28分掲載
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時事英語一口メモ
【番外】ブレアと暴君ネロ
ブログ版
6月27日に退任したブレア前英首相は米国とロシア、欧州連合、国連による中東和平4者協議(カルテット)の特使に任命された。中東諸国では、この任命は評判が悪いようだ。ブレアをローマの暴君ネロになぞらえる論評が出ている。
この任命についてワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズの両紙は、レバノンのデーリー・スター紙のコラムニスト、Rami G. Khouriが書いたコラム(6月27日)の同一個所を引用している。
その部分は、“Appointing Tony Blair as special envoy for Arab-Israeli peace is like appointing the Emperor Nero to be the chief fireman of Rome.”(トニー・ブレアをアラブ・イスラエル和平の特使に任命することは、皇帝ネロをローマの消防隊長に任命するようなものだ)というところである。
Khouriはその前で、次のように述べている。
His main problem is not only that he has been hypocritical or partial to Israel and the United States rather than truly even-handed; it is also that his policies have contributed directly and abundantly to the Arab-Israeli conflict and associated tensions in the Middle East that he is now going to try and resolve.
(彼の主な問題は、彼が偽善的で、真に公平であるというより、イスラエルと米国に片寄っていただけでなく、彼の政策がアラブ・イスラエル紛争と彼が解決しようとしている中東での関連した緊張に、直接的かつ大いに引き起こすもとになっている)
スターの編集局長を務めたロンドン在住のライター、Michael Glackinが同紙に寄せたコラム(6月26日)も皇帝ネロを引き合いに出している。
The scale of the failure of Blair's foreign policy can be measured in death, carnage and misery across the Middle East, from the Mediterranean to the Tigris. Nero supposedly played his lyre while Rome was devoured by a fire he started. Blair's lucrative employment on the US lecture circuit will offer a modern example of the Roman emperor's vanity, while the Middle East remains enveloped in a conflagration partly of Blair's making.
(ブレアの外交政策の失敗の大きさは、地中海からチグリス川までの中東で起きている死と殺りく、苦境で測ることができる。ネロは彼が引き起こした火事でローマが焼き尽くされる間、弦を弾いていたのであろう。ブレアがそれに一部責任のある大火災に中東が包まれている間に、ブレアが米国で稼ぐ講演活動は、ローマ皇帝の慢心の現代の実例となるであろう)
西暦64年7月、大火災がローマの半分以上を焼き尽くした。市民の間ではネロが宮殿用の土地を確保するために火をつけたという噂が広まった。ネロはその噂を否定するために、キリスト教徒に罪を着せて処刑した。しかし、最近の学者の研究では、ネロ放火説を裏付ける証拠に乏しいという。
“Nero fiddled while Rome burned.”は、 ネロがローマが燃える間、フィドルを弾いて安穏としていた故事。2002年の英国の消防士がストライキを起こしたときにも、ブレアはネロに擬せられた。
漫画 http://www.scottclissold.com/3D/UK/NeroBlair.htm
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=10&categ_id=5&article_id=83363
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=5&article_id=83334
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