2007年07月12日19時36分掲載  無料記事
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ベーシックインカムやLETSで生きる権利の保障を:07年参院選

 参議院選挙の告示日が来た。29日の投票日に向けた闘いが始まる。戦争に反対し、憲法9条の改憲阻止を願う市民として、また1人のプレカリアートとして、選挙戦を見詰めて行きたい。私は改憲問題を今回の選挙の最重要課題と認識した上で、国民の生活を保障するためにベーシックインカム(基本所得)と、新しい経済システムのLETS(Local Exchange Trading Scheme)の確立の必要性を訴えたい。(攝津正) 
 
 世間では、社会保険庁の解体や年金問題、政治とカネなどが選挙の争点だ、と言われている。確かに重要ではあろう。だが、本質的により重要なのは、改憲問題である。今回の参院選で護憲派を3分の1以上、国会に送り込めるかどうかが、改憲の前提である国民投票法案の成立を阻止するための分岐点になるのだ。 
 
 憲法9条は、われわれの平和的生存権を保障している大事な条文である。しかし、私は多くの護憲派と違って、「9条が改定されたらもう終わりだ」というようなペシミズムは共有していない。仮に憲法が「改悪」されたとしても、それでも戦争には反対だとの声を上げ続けることができるし、自分自身はそうするつもりである。 
 
 そこで私が最も期待する候補者が、9条ネットから出馬している自給自足のストリートミュージシャンのZAKIさんである。彼は、自身の当選を訴えつつ、護憲派総体の底上げをうたっている。こうした党利党略にとらわれないオープンな姿勢こそ、今求められているものではないか。 
 
 ZAKIさんは都内各地や千葉県などを街宣車で精力的に回っている。歌と演説で、現在の政界と財界の癒着や戦争推進政策(改憲の動きなど)を熱烈に批判している。私はZAKIさんの姿勢に共感する。 
 
 問題はシンプルだ。やつら(=一部の権力者や資本家ら)から、われわれ(=プレカリアート・大衆)の自由と生存を奪い返すことなのだ。マスメディアは事の本質を正しく伝えない。そのため、ブログやインターネットラジオを含む個人メディアや市民メディアで真実をあからさまに語っていく必要がある。 
 
 改憲に加えて、私にとって本質的なテーマを指摘しよう。ベーシックインカム(基本所得)と新しい経済システムのLETS(Local Exchange Trading Scheme)である。 
 
 ベーシックインカムとは、一切の選別を拒否し、全ての市民に文化的に生きるために必要なお金を給付すべきという提案である。LETSは、個々人が地域通貨を発行し、必要なものを交換し合うシステムだ。 
 
 なぜ、これらが重要なのかといえば、根本的にはお金がないために死に追いやられている人が多過ぎるからである。北九州市のおぞましい生活保護水際作戦の詳細はすでに暴露されている。生活保護や障害年金の給付は選別的であり、厳しい条件を満たさないといけないことから、受給は必ずしも容易ではない。 
 
 しかし、膨大な数の生活困窮者やワーキングプアがいる。彼・彼女らの生を無条件で肯定するためには、ベーシックインカムが必須だと私は考える。とはいえ、ベーシックインカムには、財源や国家財政との関連で難しい問題があるのも事実だ。 
 
 だが、国防や軍事などには膨大な額の予算を投じるのに、人が生きるための制度作りに予算を組むのを渋るのはなぜなのか。人々の生活を保障する制度の確立が先ではないか、との思いは禁じ得ない。 
 
 一部のマスメディアは今の日本は「史上最高の好景気」などと吹聴している。もしそうであるならば、その分け前を貧乏人にもよこすべきだ。 
 
 一方、LETSは分権的なので中央銀行などの干渉から自由である。ところが、なかなか流通していない。「貨幣」として実効的な機能を担えないなどの問題があるからだ。そこで私は、LETSを流通させるためのさまざまな仕組みを政府や地方自治体が提案し、実行するべきだと考える。最低限の生存がLETSで保障されるのであれば、生きられない人は存在しないことになる。 
 
 果たして、こうしたことは可能だろうか。私にも分からない。それでも、不安定な生を強いられた者の1人として、経済的保障や安定を求めずにはいられない。 


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