2007年09月14日14時15分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200709141415165

核攻撃に備え「核シェルター」の建設急ピッチ イスラエル

 イスラエルが核攻撃に備えて政府要人や軍幹部を収容する地下シェルターを建設しているとの情報が以前から流されていたが、先月末にイスラエルのイディオト・アハロノト紙は、シェルター建設が急ピッチで進んでいると、この建設計画を報じた。衛星放送局アル・ムスタクバルのウェブ・サイトがこの記事を転電しているが、興味深いのであらためて詳述する。(齊藤力二朗) 
 
 イスラエルのイディオト・アハロノト紙は8月27日、核攻撃を受けた際に軍司令部として使用する「裁きの日(最後の審判)のシェルター」と呼ばれる地下軍事要塞の建設現場の写真を掲載した。 
 
 イスラエルのテレビ各局は数年前、西エルサレムの政府庁舎及びクネセト(国会)の地下に複数のホールや軍司令室を備え、離れた場所に出入口を持つこの巨大シェルターの建設を報道していた。 
 
 同国の建築の中でも最大級とされ、総工費が約10億シュケル(約2億4000万ドル)かかる同プロジェクトの起工式も、イスラエルの要人らが参加して開かれた。 
 
 有事の際イスラエルの国家指導部が使用する同シェルターは、核攻撃にも耐えられる。オルメルト首相や多数のクネセト議員などと工事現場を視察した一人は、「映画やテレビの中にのみで見られたこの世の終わりのような光景だ。ここを歩くと恐怖を感じる」と語った。 
 
 この巨大施設には軍司令部や国家指導部、政府要人の執務室が置かれ、核攻撃を受けた際には首相やクネセト議員が退避して国家を運営する。 
 
 シェルターへの入口は山に掘られたトンネルで、入口からシェルターまで約10分で到達する。トンネルの直径は10メートルもあるため二台のトラックが交差でき、トンネルの両側には機械室や空調、電気室への入り口が見える。 
 
 トンネルの入口から2キロ進むと、天井の高さが数10メートルある複数のホールに出る。ここには数百人の居住者のための複数の部屋や、軍事、政治指導部の司令室が造られ、別の場所へ避難するためのエレベーターも設置される。 
 
 シェルターの建設作業員は全員身上調査を受けたユダヤ人だ。この建設案は1999年から2001年のバラク政権時代に出され、バラク氏は現在国防相として建設プロジェクトの責任者となっている。完成は2011年の予定。環境保護団体は環境に悪影響を与えるとして同プロジェクトを批判している。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。