2007年09月30日22時11分掲載  無料記事
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民主化の実現めざし、犠牲者を追悼 ビルマの武力弾圧に抗議し東京などで緊急行動

  この世には、人間としてどうしても許せないことがある。ビルマ(ミャンマー)軍事政権による僧侶や市民の平和的なデモの武力弾圧もそうだ。一人ひとりの抗議の声は小さくても、人々が力を合わせれば「蟻が象の足に痛みを与えることができる」(ビルマの諺)。そんな思いで結ばれた在日ビルマ人と日本の市民が30日、武力弾圧の犠牲者を追悼し一日も早い民主化の勝利を願う緊急行動を東京・大阪で繰り広げた。東京では小雨のなか、1000人近くがミャンマー大使館までデモ行進したあと、参加者の一部は大使館前でキャンドル集会を行い犠牲者の霊を弔った。(永井浩) 
 
 東京のデモ行進は、軍政下の祖国を逃れ日本で民主化運動をつづけている活動家たちがつくる在日ビルマ人共同実行委員会の主催で行われた。これまでにも祖国の民主化を求めるビルマ人たちのデモは何回も繰り返されているが、主催者によるとこの日の参加者数は過去最大。とくに普段は政治活動に関わっていないビルマ人が多数参加したのが大きな特徴だという。 
 
 「多くの僧侶が殺されたことに我慢できない人たちがいかに多いかのあらわれ。国民の9割が仏教を信仰しているわたしたちにとって、尊敬する僧侶が殺されるということは自分の親が殺されるのとおなじ気持ちなのだ」とビルマ人は解説する。 
 
 彼らの日常生活にいかに僧侶が欠かせない存在であるかは、デモ行進の先頭に僧衣のビルマ人僧侶が立っていたことからもわかる。異国での生活の精神的な支えとして在日ビルマ人たちがわざわざ祖国から招いた僧侶たちだ。そのうしろに日本の僧侶らがつづいた。 
 
 口々に「軍政崩壊」「政治的対話を」「全政治囚の釈放を」「民主化勝利」を叫び、沿道の人々に民主化への理解と支援を訴えるビルマ人たちの先頭には、民主化運動の指導者アウンサンスーチーさんの写真と彼女が率いる国民民主連盟(NLD)の党旗。参加者は暴力の停止などを訴える横断幕とともに、祖国の市民記者が世界に配信した反政府デモの写真やデモを取材中に治安部隊に射殺された日本人カメラマン、長井健司さんの写真を胸元に掲げていた。 
 
 多数の警官が配備され入口を閉鎖した大使館前では、軍政のトップ、タンシュエ議長の写真を路上に置き参加者が次々に足で踏みにじる場面も見られた。 
 
 ビルマ人のうち20名がこのあと渋谷の国連大学前で48時間にハンストに入った。29日にビルマ入りした国連のガンバリ事務総長特別顧問が、軍政とNLD、少数民族代表の対話の橋渡しをし、民主化へ向けた成果をもたらしてほしいとの願いを込めた行動という。 
 
 キャンドル集会はビルマ市民フォーラム(PFB)などが呼びかけ、参加者は夕闇のなか手にしたロウソクに火をともし犠牲者を追悼しビルマの平和回復を祈った。 
 
 大阪での緊急行動は、日本ビルマ救援センター(BRCJ)が主催、JR大阪駅前などでビルマの現状を訴え、軍政による武力弾圧の停止・全政治囚の釈放など求めるビラを道行くひとたちに配った。 
 
 東京・大阪以外でも、名古屋では29日から民主化活動をするビルマ人が48時間のハンストを開始。10月1日には僧侶による追悼行事のあと、県知事にビルマの民主化への日本の理解と支持を申し入れる予定となっている。 
 
 広島では1日、ビルマの僧侶に連帯する仏教徒の会が在日ビルマ政治難民のココラットさんを講師に迎えて集会、原爆ドームからデモを始める。 


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