2007年10月18日10時15分掲載  無料記事
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長井氏の「偶然」の死で両国の友好関係を損なってはならない ビルマ国営紙が長文の記事

  ビルマ(ミャンマー)の反軍政デモを取材中の映像ジャーナリスト、長井健司さんが治安部隊に射殺された事件を、同国のメディアはどのように伝えているのだろうか。国営紙「チェーモン(ミラー)」は13日、2ページにわたる長文の記事を掲載し、長井さんの「偶然」の死に遺憾を表するとともに、虚偽の事実によって「日本−ミャンマー間の友好関係を壊そう、支援を削減させよう、制裁を加えさせようという行い」をすべきではない、と主張している。記事はまた、第二次大戦中の日本軍占領下で起きた日本の残忍な所業に対して、戦後、ビルマ国民が寛容な対応をしめしたことを忘れてはならないと釘を刺している。(ベリタ通信) 
 
 2007年10月13日付 チェーモン(ミラー)新聞第6− 7面 
 
「モクセンナは甘いのに、塩が台無しにする*」ことがないようにしよう 
チョーミンル(シュエピーター) 
(訳注*本来は順調なのに第3者によって妨害されること) 
 
 国内で先月末から起こっている暴力騒動を、国家の安定・安寧のため、保安部隊が鎮めていたところ、日本のフォトジャーナリストである長井健司という人が偶然にも亡くなったことは、皆さん既にご存知と思われる。本当に気の毒なことである。その日本人が死亡した後、日本の外務副大臣の一行が訪れ、責任ある何人かの大臣と会ったことも、ニュースで流れているので、既に我々の知るところである。我々の国家の責任者たちも、偶然の出来事であるため遺憾であるということを、相応に説明していくであろう。元々の気質は穏やかで、思いやりがあり、慈悲の心をもつミャンマー人にとって、自分の国に来た外国人がこのような目に遭って、どうして平気でいられよう。 
 
 (中略) 
 今のように日本の報道機関をふくむ外国の報道機関が、ミャンマー保安部隊が長井氏を(訳注:外国人と)知りながら至近距離で射撃したかのように、陰謀を働いて偽って放送しているのは、堅く結ばれた2国間の友好関係を大なり小なり傷つけさせ得る。日本のある報道機関が、長井氏のことにちなんで、「ミャンマーが平和と民主主義を得るために、日本政府はもっと努力しなければならない。一民主主義国家として日本政府には責任がある。」という具合にまで、我が政府に圧力をかけてきたのをみて、彼らの民主主義というものにすら私は正直なところ失望した。 
 
 実際のところ、日本−ミャンマーの友好関係は長い間堅く結ばれてきた。互いの政府が友好を深めてきたように、2国間の国民も相互に理解し合い、信頼関係を成就してきた。ミャンマー国として、ミャンマー国民として見るならば、日本占領時代を経験しなければならなかったように、日本に関して、恨めしく腹立たしいことはたくさんある。日本の憲兵隊のこと、日本のファシズムのことに関する小説や映画は現在まで数多くある。本当に、日本の残忍で獰猛な所業のために、我々国民は「トゥマナの背中に多くの傷」というようにあちこちにみみず腫れができ、たくさんの傷を負った。しかし、我々の国民は、これらを歴史の中に置き残してきた。古傷を再び引っ掻くことはしない。中国や韓国が戦時中の残虐行為に対して謝罪を求めているような時にも、我々の国民が日本を寛大に許すことができたというのは、並ならぬ純真さにあふれていたからこそであると知って頂きたい。 
 
 (中略) 
 現在も、日本−ミャンマー関係は友好によって支えられ、絆が壊れることなく、互いを尊重し続けている。日本は、政府も、NGOも、我々の国に対して、人道的配慮による支援を含め、社会福祉、教育支援を行っている最中である。しかし、外国の報道機関はこの度の長井氏の出来事に基づいて、日本−ミャンマー間の友好関係を壊そう、支援を削減させよう、制裁を加えさせようと様々なことを行い、事実・真相をしらなければ、虚偽を事実と思い込んでしまいそうにさせている。したがって私は、事実を事実のとおり、実態をありのままに公表するのみである。真実に基づいて、2国の友好関係を末永く維持できるようにすることが必要であろう。「モクセンナは甘いのに、塩が台無しにする」というようなことが無いようにすべきである。 
 
(日本語訳 三村 明恵) 


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