2007年11月20日02時15分掲載  無料記事
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▼ビルマより東ティモールの方がASEANの理念に近いとラモス氏

 【クアラルンプール19日=和田等】シンガポールで開催中の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に関連して、マレーシアの英字紙ニュー・ストレーツ・タイムズに寄稿したフィリピンのフィデル・ラモス元大統領は、昨年以降政治的な迷走状態に置かれているASEANオブザーバー国の東ティモールに言及、ASEAN正式加盟国であるビルマ(ミャンマー)よりも東ティモールの方が、より困難な状況においてさえ民主的な統治を維持していると指摘した。ラモス元大統領はビルマより東ティモールの方がASEANの理念に近い立場にあるとの考えを示している。 
 
 ラモス氏の寄稿によると、東ティモールの人びとは絶えず、政府に開放性と対話、法の統治の下での多数決投票を求めていると指摘。その一方でビルマの人びとは同じことを求めてきたが、長年の政治的・経済的危機によってビルマは崩壊に向かっており、アフリカの混迷国のような様相を呈しており、ASEANの中で「のけ者」になりかかっているとの見方を示した。 
 
 さらにラモス氏は、ビルマの事例は東ティモールの対立する党派に、抑圧や独裁を最善の解決策であるとの結論に導くようなことがあってはならないと警告した。 
 
 独立運動の英雄から初代大統領、さらには首相に就任したシャナナ・グスマン現首相の課題についてラモス氏は、いまなおキャンプ生活を送る、人口の10%にあたる推定10万人の国内難民が自分の家に帰っても大丈夫だとの安心感を与えられるかどうかであるとも指摘した。また、かつての与党・東ティモール独立革命戦線(フレティリン)が現政府に抵抗していくとの決定に固執するのであれば、東ティモールでの不安定な状況は今後も続くだろうとの懸念も表明した。 
 
 ラモス氏は「国連ボランティア334人を含む文民スタッフ1568人、世界39カ国から1623人が参加する国連治安維持部隊、あるいはオーストラリアやニュージーランドの平和維持軍のおかげで、東ティモールの治安は一定程度保たれ、民主的な手続きを進めていく一助を担っている」と指摘したうえで、結局は政府や政府に対立する勢力が国民の願いに応えていくかどうかに、同国の将来はかかっているとの見方を示した。 


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