2007年12月06日04時11分掲載
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ダライ・ラマが中国政府の介入阻止で発言、波紋呼ぶ
【パリ4日=飛田正夫】中国政府が、亡命中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマへの締め付けを強化している中で、ことし夏に72歳の誕生日を迎えたダライ・ラマが、後継者問題について中国政府の対応に反論する発言を行い、波紋を呼んでいる。
ダライ・ラマは、1959年のチベット動乱でインドに亡命し、以後チベットでは、中国政府による実効支配が続いている。ダライ・ラマは、半世紀近くにわたりチベット独立を主張し、中国政府と対立している。
中国政府は今年8月、ダライ・ラマの影響力を排除する目的で、チベット仏教界の伝統である、ダライ・ラマの後継者の選出について新方針を打ち出し、後継者選出は、中国政府の許可が必要とした。
ダライ・ラマは、伝統的には、死後にチベット仏教の高僧たちが、生まれ変わりとみられる少年を探し出し、ダライ・ラマの転生者として選び出す方法が取られている。中国政府の新方針は、この生まれ変わりの選出になんとか介入し、中国政府寄りの後継者を選ぶことが目的とされる。
各種報道によると、ダライ・ラマは、この中国政府の姿勢に反発し、最近、後継者問題に言及し、「私が亡命中に死亡したら、論理的に言って、生まれ変わりのものは、(チベット以外の)外国から来る」と述べた。このほか、自らからの存命中に後継者を選ぶこともありうると述べ、伝統的な後継者選びの方法を修正する提案も行っている。これらは、いずれも中国政府の介入を阻止するのが狙いだ。
フランスの左派系新聞リベラシオン(11月30日付)は、ダライ・ラマは、自分の死後に特に中国に牛耳られることを憂慮して、「チベットの高僧の中から民主的に選ぶか、もしくは自分が選ぶ」などと提案している。これは、従来のダライラマの再来(生まれ変わり)の即位継承の伝統儀礼とは異なる今までになかった革命的なできごとだと報じている。
ダライ・ラマは亡命後、インドのヒマラヤ山麓を拠点に、世界各地の要人を歴訪して世界平和を訴えている。今年72歳の高齢を迎えて、チベットの人々はダライ・ラマの後継者問題を心配しているという。ダライ・ラマは1989年にノーベル賞を受賞、ことし10月には訪米し、ブッシュ大統領と会談したほか、米議会から顕彰メダルを贈られるなどしたため、中国政府が、不快の念を表明している。
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