2008年01月15日18時41分掲載  無料記事
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橋本勝21世紀風刺画日記

第81回:暗殺つき民主主義はいかが!?

 昨年末、パキスタンでおきたブット元首相が暗殺された事件は衝撃的だった。イスラム過激派の自爆テロなどといわれたが、真相は銃撃による暗殺らしい。選挙は延期となりパキスタンの政治は混乱をきわめている。政敵を暗殺で排除するなんて、パキスタンはやはり民主主義の後進国なんて言うなかれ、民主主義のお手本を自負するアメリカだが政治の一手段として、暗殺が行われ続けてきた。なにしろリンカーンをはじめ現職の大統領が4人暗殺されている。未遂に終わったが暗殺されかかった大統領は8人にものぼる。ベトナム戦争にかかわっていた時のアメリカの60・70年代には強烈な印象を残す暗殺が続いた。ケネデイ大統領、弟のロバート・ケネデイ、キング牧師、マルコムX,さらに80年の12月8日にはジョン・レノン、すべて銃による殺人。さすが国民一人あたり銃一丁の銃社会アメリカというべきか。前回の大統領選において有力候補だったパウエルが出馬しなかったのも暗殺を恐れたからだという。 
 
 さて今回の大統領選、民主、共和の候補指名争いが次第に熱をおびてきている。とくに民主党はヒラリー、オバマの苛烈な戦いで注目を集めている。ヒラリーだったら女性初、オバマだったら黒人初の米国大統領になる。これはアメリカの歴史にとって画期的なことである。それだけに激しい反発も予想されるし、イラク戦争がらみの軍需産業の影もちらつく……ということで暗殺という最悪なこともおこりえる。「テロとの戦い」を高々と掲げるアメリカだが、自国内の暗殺というテロすらも防げないとすれば、これはもう民主主義の自殺というしかない。(橋本勝) 


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