2008年02月04日21時15分掲載
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橋本勝21世紀風刺画日記
第85回:家族内内戦で日本は滅びる
今、日本で、民族間でも、イデオロギー間でも、宗教間でもない内戦が勃発している。それは家族間における内戦である。おなじみの嫁姑戦争なんてものにとどまらない、夫が妻を、妻が夫を、親が子を、子が親を殺すという陰惨なる戦争である。
最近のニュースからもそれは明らかである。夫が妻を斧で殺した。妻が夫を殺し、その死体をバラバラにした。母親が幼い子を屋上から投げ落とした。少年がナイフで母親を、弟を、妹を刺し殺した。父親が高校生の息子を棒で何度も殴り死に至らしめたなどなど。
殺害の後、自からも死を図るという一家心中の形をとる場合もあるが、自分の人生への絶望からの無理心中というしかない。DVの、家庭内暴力の果ての、子供への折檻が行過ぎての、親の介護に疲れ果てて・・・・といろいろな事情があるにせよ、そこには、毎年3万人もの人が自殺をはかり、貧困のため餓死する人すらでているという日本の厳しい状況を、反映しているものでもある。それにしても家族内で殺しあうとは、やはり異常というしかない。
国として日本は末期的症状にあるといえる。新自由主義の成果というべきか、厳しい格差社会の進行によって、生活困窮者が激増、前途に希望を見出せない社会の中、自己責任の呪縛もあり、破れかぶれの行動にでる。
犯罪は時に社会への復習という形をとるが、自らの人生への激しい絶望は、人を虚無の迷路へと誘い込む、そして憎悪は社会への復習へと向かうのではなく、自己嫌悪へと凝固し、それが自己破壊に駆り立て、そしてもうひとつの自分とも言うべき家族に向かうのである。家族、とくに親にとって子を殺すことは未来の否定であり、子にとって親を殺すことは過去の否定である。家族内内戦が多発する日本の闇は深い。(橋本勝)
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