2008年04月10日21時03分掲載
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憲法9条、世界遺産に登録 市民団体10年越しの夢、実る 安原和雄
画期的な大ニュースが飛び込んできた。平和憲法9条が世界遺産に登録されたというのである。これは政府の努力による成果ではなく、市民団体の10年越しの夢が実ったものである。東京新聞など一部のメディアは早速紹介しているが、どういうわけか大手メディアは報じていない。市民メディアの『卯月新報』号外(2008年4月1日付)がくわしく伝えているので、要旨を以下に紹介したい。
この号外新聞は4月1日、東京9カ所(日比谷、丸の内、高田馬場、上野、銀座、池袋、原宿、渋谷、新宿)のほか、札幌、大宮、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡の7カ所の計16カ所で一般市民、学生、公務員、会社員、主婦などの手で配布された。
▽9条、世界遺産に登録 ― 世界中から賞賛の声あがる
号外はつぎのような見出しで伝えている。
憲法9条、世界遺産に登録
市民団体の10年越しの夢、実る
世界中から賞賛の声あがる
[パリ=USO協同、特派員発]
3月31日、ユネスコのパリ本部で開催された世界遺産委員会で、日本の市民団体「9条を世界遺産に登録する会」が推薦していた「日本国憲法第9条」が正式に世界文化遺産として指定、登録されることが決定した。法律の条文が登録されるのは初めてのことで、大きな反響を呼びそうだ。
登録には通常「公的関係機関からの推薦が必要」とされており、「推薦団体問題」が争点となっていた。同委はまず「日本国内の現状を考えれば憲法9条が改憲され、無くなる恐れがある」として危機遺産にあたると認定した。さらに「(危機の)根拠が示されれば個人・団体からでも審査対象になる」という規定を援用して、「文化的普遍的価値」を評価し、全一致で登録が決まった。
市民団体からの推薦で同遺産の登録が決まるのも初めてという。同市民団体は「過去、ほとんど門前払いだっただけに驚いている。決定は喜ぶべきだが、逆に9条が危機にあるということでもある」とコメントを発表した。決定後、世界遺産委員会のアレイイゼ会長は記者会見で「9条は人類が生み出した最良の非戦思想で、各国憲法の基礎になるべき考え方だ。世界遺産に登録し、全世界に広めてほしい」と語った。
31日、この決定は国内でも驚きを持って迎えられた。「画期的な決定。9条の価値が認められた」と世界各地から賞賛の声が上がる一方、「現実とかい離がある条文が世界遺産と言えるのか」(自民党幹部)という批判的な見方もあり、議論が高まっている。
「登録する会」会長は「改憲の危機が無ければ登録できなかった。これを機に世界各国に『9条があって当たり前』と言われるようにしたい」と語気を強めた。
▽アンドロメダ星雲から ―「 宇宙平和の共同宣言」提案か
さらに号外は別面でつぎの見出しで報じている。
アンドロメダ星雲からメッセージ届く
宇宙平和の共同宣言を提案か?
[リオデジャネイロ=特派員発]
国際宇宙研究所のブラジル支部のドナイナッテーノ支部長は3月31日、「これまでアンドロメダ星雲第2225期星からの微弱電波を受信し、7年にわたる研究解読作業の結果、ついにその内容の解読に成功した」と発表した。電波は、意志ある知性体が発する何かのメッセージではないか、と研究を重ねてきたという。
解読した内容は以下の通り(要旨)。
我々は全宇宙の知的生命体との交信を重ね、ついに地球の生命体への送信に成功した。全宇宙はいまや、ごく一部を除いては、まったくの非戦平和状態にあり、一層の持続的発展を遂げつつある。
しかし地球などわずかの星では、いまだに紛争が繰り返されている。戦争などによる知的生物体の損失は、全宇宙にとっても大きなダメージである。ここに我々と宇宙非戦平和協定を結び、即座に地球内部の無益な戦争状態を停止するよう、地球生命体に呼びかける。
これは相互平等協定であり、決して我々の意志を押し付けるものではない。現在の非戦平和宇宙地域の生活がいかなるものかを、その目で確認してもらうために、我々は映像を地球科学に合わせてDVD化して届ける用意がある。地球代表の生命体を数万規模で非戦平和宇宙に招待する用意もある。
共同平和宣言を発し、宇宙の持続的発展のために共に努力邁進しようではないか。(以上)
以上のような宇宙の知的生命体からの要請を受け、国連ではすでに論議入りの方向で根回しが開始されているが、例によってアメリカは「敵対的でない証拠はない」として、平和宣言には消極的である。日本も米国の意見に従うものと見られて、各国の反発を買いそうな情勢であり、日本の孤立はますます際立つばかりである。
▽安原のコメント ― 「9条世界会議」の成功を祈って
アンドロメダ星雲からの平和共同宣言提案あたりから、「これなに?」と疑問符がつのってきたことでしょう。いや最初少し読んで、おかしいと思っていたよ、という人も当然いることと思います。相済みません。号外の発行日4月1日付に注目下さい。ご存じのエープリル・フールです。
しかし号外の内容はフィクションとはいえ、大変よくできていると感心しました。お笑いコンビ「爆笑問題」・太田光さんと多摩美大教授・中沢新一さんの共著『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書、06年刊)の流れを汲んでいます。現実に9条が世界文化遺産になる日も十分あり得ます。私(安原)はそれに期待をかけます。
もちろん改悪されてからではなく、守り抜き、十分に生かした上での世界文化遺産です。
号外は全部で1万5000部配ったそうです。その配布役を担ったのは「9条世界会議」(5月4、5、6日の3日間、主会場は千葉・幕張メッセ。ほかに仙台、大阪、広島でも開催される。この世界会議はエープリル・フールとは無関係で本物です)の応援団の面々です。
「9条世界会議」にはノーベル平和賞受賞者が3人もかかわっています。
その1人は北アイルランドのマイレッド・マグワイアさん(1976年受賞)。「紛争は暴力ではなく、対話によって解決する。日本の9条はそのような世界のモデルになる」が持論で、初日の5月4日基調講演を行います。
つぎはケニアの環境運動家で、日本語の「もったいない」を世界中で提唱しているワンガリ・マータイさん(04年受賞)。「戦争のない世界へ。すべての国が憲法9条を持つ世界へ」というメッセージを会議に寄せています。
3人目はアメリカの地雷禁止国際キャンペーンのジョディ・ウイリアムズさん(05年受賞)。「地球市民の一人として、9条を支持する。9条を日本から取り除くのではなく、世界へ広げるキャンペーンをしていこう」というメッセージを会議に届けています。
「9条世界会議」の成功を祈ります。
参考までに憲法9条(戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認)の全文は以下の通りです。
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。
連絡先=「9条世界会議」日本実行委員会(事務局:ピースボート気付・TEL03−3363−7967、FAX03−3363−7562)
*本稿は「安原和雄の仏教経済塾」からの転載です。
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