2008年06月30日21時11分掲載
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橋本勝21世紀風刺画日記
第106回:帰還兵たちの星条旗
6月28日から公開されている米映画『告発のとき』は必見です。監督は『ミリオンダラー・ベービー』や『父親たちの星条旗』の脚本を書いたポール・ハギス。映画はイラクからの帰還後、行方不明になりやがて無惨な死体となって発見された息子の死の真相を必死に探る父親(トミー・リー・ジョーンズ)を描く。そこから浮かび上がってくるのは帰還兵の3人に1人はPTSD(心的外傷後ストレス障害)になっているというイラク戦争の現実である。それはもちろん米国の若者の悲劇にとどまらず、イラクの人たちにとっての大きな惨禍であることはいうまでもないであろう。
映画の最後のほうでかかげられている逆さまの星条旗のシーンが象徴的である。天地が逆にしてかかげられた国旗というのはその国家の救援の信号だと言う。愚かなる大統領ブッシュが始めた「テロとの戦い」の主戦場となったイラク。その泥沼であがく米国は、今「助けてくれ〜」のメッセージをおくるしかないということを、この映画は鋭く告発しているのだ。
ところで日本の国旗は天地がない。逆さまの国旗で国としての救援信号を送ることができないのだ。米国に追随してその戦いを支持し続ける日本。逆さまに国旗を掲げなくてはならないビンチの時がきても、それができないのはマズイのではないかと思うのである。(橋本勝)
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