2008年08月12日11時49分掲載  無料記事
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環境

【リンク】ナノテクはあぶない! 安全性の確認がないまま、環境に放出、人体に侵入 化学物質問題市民研究会が警告

  化学物質汚染問題に取り組む市民団体「化学物質問題市民研究会」がナノテクについてのキャンーペーんに取り組んでいる。ナノテクは、ナノ・メートル=10億分の1メートル=単位の超微粒子を用いた技術で、医薬品や化粧品。食品をはじめあらゆる用途にその使用は広がり、日常にあふれている。安全性の確認もないまま世界中でつかわれているナノテク物質について、同研究会は「安全が確認されていないナノ粒子を環境中に放出し、大気、水、土壌を汚染し、ヒトを 含む生物に重大な危害を及ぼす可能性があることを放置したままにすることは許されない。環境中に放出されたナノ粒子は呼吸器系から、飲食物から、そして皮膚を通してヒトの体内に取り込まれる」と警告。「ナノ物質管理法」の制定を求めている。ナノ物質とはどういうものか、同研究会サイトから紹介する。(大野和興) 
 
 
  化学物質問題市民研究会のサイトの中の「ナノテクの危険性と社会的影響」は以下でアクセスできる。 
 
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/nano_kanri_master.html 
 
  なぜナノテクが問題なのか、同研究会は今のように述べている。 
 
「ナノテクは「医薬品、化粧品、表面処理、潤滑剤、スポーツ用品、環境改善、エネルギー、情報通信、化学、農業、食品、繊維など広い範囲で使われ始めている」。しかし、 
 
「50ナノメートル以下の物質には最早物理学の一般法則は適用されず、物質は全く新た な特性を帯びるといわれている。したがって、従来のサイズでの物質の特性が分かっていても、ナノスケールでは全く役に立たず、危険な特性を含めて全てのナ ノ物質の特性は改めて実験により確かめられなくてはならない。しかし、現在、世界中どこの国でもナノテク製品は規制の対象になっておらず、表示義務もな く、安全が全く確認されないままに市場に出されている」。 
 
  そして現実にカナダの研究グループからは、 
 
「日焼け止め中のナノ粒子が DNA を損傷する、ナノ粒子が実験動物の細胞に取り込まれる、ナノチューブがラットの肺に有害影響を与える、ナノ粒子は血液脳関門を通過する、ナノ粒子は胎盤を 通過して母親から胎児に移動する、カドミウムセレン化合物ナノ粒子がヒトの体内でカドミ中毒を引き起こす、バッキーボールは魚の遺伝子機能を変更するとと もに幼魚の脳に損傷を与える」−などが報告されている。 
 
「しかし日本は、米国及び欧州をしのぐ巨額の資金を投じ、官産学あげてナノテクの開発に猛進しているにもかかわらず、国民に広く公開されているナノテクの安全性に関する情報、特に行政からの情報は非常に少ない」 
 
  こうした現実をもとに化学物質問題市民研究会は08年7月30日、「ナノ物質管理法」制定についての提案を行った。この問題については、継続して報道する。 


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