2008年09月11日00時30分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200809110030404

文化

【映画】「アメリカばんざい」を見て ホームレスの三分の一がイラク帰還兵という現実 山城智幸

  最近見たインターネットのあるアンケート(20〜40歳の社会人対象)で「働いてみたしヽ国」の一位はアメリカであった。主な理由は「実力主義で仕事のやりがいがありそうだから」だという。これが日本人が持つアメリカに対する良いイメージだとするなら、映画「アメリカばんざい」に描かれているのは、アメリカが持つ負の側面であり、アメリカの生の姿だろう。 
 
  登場するのは、イラク帰還兵の若者、イラク戦争で息子を失った母親、ホ一ムレス支援を行う元麻薬中毒患など。 また途中には新兵訓練のブートキャンプの映像も流れる。 
 
  そこから見えてくるのは、貧乏人が軍隊に駆り出され、戦地へ行き、心と体に大きな傷を受けるということ。「除隊したら保障も仕事もある」というアメリカ政府の宣伝が嘘であるということ。経済大国でありながら、国民の100人に1人が「ホームレス」であり、「ホームレス」の3分の1が帰還兵だということ。苦しみ、悲しみ、怒つている多くのアメリカ国民がいるとしヽうこと。 
 
  まさに、富める一部の者のために多数者を犠牲にするアメリカの本性だ。 
 
  「日本がこんな国になつていいのか」、この映画は見る者にそう迫る。インド洋やイラクに自衛隊を派遣する日本。さまざまな規制を緩和し、貧乏人がますます増えている日本。今日のアメリカは明日の日本に他ならない。 
 
  この映画が―人でも多くの人々に鑑賞され、改憲や日本の戦争国家化を止め、政治の流れを変える起爆剤になることを願う。 
 
(初出:新聞『コモンズ』) 
 
■監督:藤本幸久 
■制作:森の映画社 
■配給:森の映画社、太秦 
この映画の公式サイトは下記。 
http://www.america-banzai.com 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。