2008年12月09日14時38分掲載  無料記事
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米ロサンゼルス・タイムズ紙でとても嫌な目に遭った

 米カリフォルニア州の有名紙ロサンゼルス・タイムズ(以下LAタイムズ紙)などを抱えるメディア大手、トリビューンが8日、経営不振から、遂に破産を申請したと一斉に報じられた。インターネット時代の隆盛で、紙媒体の魅力が激減、これが発行部数の減少につながり、経営悪化に拍車をかけた。西部のリベラル紙として長年の伝統を持つLAタイムズ紙が直ちに廃刊になるわけではないが、今後人員整理などが一層進むのは当然で、紙面の質の低下がないことを望みたい。個人的にはLAタイムズ紙は、一級品の新聞とは思うが、小生は約1年半前に、とても嫌な目に遭って、それから二度とLAタイムズ紙を購読しないと決意した。(米在住K・T) 
 
 当時、LAタイムズ紙と、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙の二紙を購読していた。以前、サンディエゴ州立大学で日本研究の講師をしていたカナダ人に、「この二紙のうち、どちらが面白いか」と尋ねられたことがある。彼は、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙を読んでみたが、あまり面白くない。双方の意見は、LAタイムズ紙に軍配が上がった。サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙も決して悪い新聞ではないが、記事の量、質、多様性の面からみても、LAタイムズ紙のほうがはるかに抜きん出ていた。 
 
 しかし、外国暮らしで二紙を購読するのは、経済的にもきついので、その後、購読料が高いLAタイムズ紙の打ち切りを決めた。ここで本題。前述した嫌な目とは、この購読打ち切りに関する経験のことだ。購読打ち切りの後、まるでマフィアみたいな、脅迫めいた電話が自宅にあり、料金請求をされたのだ。 
 
 LAタイムズ紙は、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙よりも記事は多いのだが、いかんせん、全部の記事には目は通せない。高い購読料を払って、記事も全部読めないのでは、元もとれないとの単純な計算で、LAタイムズ紙は断念した。 
 
 新聞の契約を打ち切るのは、いつでもできるが、どうも契約が一カ月単位みたいで、間もなく、LAタイムズ紙から、既に戸別配達した日数分の計33ドルを払うようにと、請求書が送られてきた。早速、支払期限前に小切手を郵送した。その数日後に、LAタイムズ紙の「集金センター」と名乗る男性から、自宅に電話があった。 
 
 「あなた、33ドル未納じゃないか。今、払わないと、大変なことになるぞ。担当者が、自宅に取り立てにいくことになる」と、まるで犯罪者扱いで、一方的にまくし立てた。ほとんど脅迫に近い。 
 
 「小切手は数日前に送りました」と答えた。ところが、相手は引き下がらない。 
 
 今度は、「小切手の番号を教えろ」と迫ってきた。一瞬、小切手の番号を教えようとしたが、ここで小生も何かおかしいと感じた。これは詐欺の電話じゃないか、と一瞬不安がよぎった。 
 
 「あなた誰ですか。小切手は支払期限前に送っているのだから、問題はないはずだ。LAタイムズ紙のカスタマー・センター(読者相談センター)に電話し、聞いてみるので、かけなおしてください」と述べ、いったん男からの電話を切った。 
 
 カスタマー・センターの電話口に出た女性は、小生が事情を説明すると、こう答えた。「その電話は無視してください」。無視しろといわれても、なんでこんな変な電話を自宅にかけてくるのか意味もわからず、釈然としない。 
 
 この女性も、はっきり言わないのだが、どうも、購読打ち切りを決めた読者が、未納分を払わずに逃げられるのを警戒して、購読料取立ての別のルートが、LAタイムズ紙にあるらしいことがわかった。つまり、購読を打ち切ると、自動的に顧客の情報がLAタイムズ紙から、この取立てルートに流れているようだった。 
 
 先の男から、約束通り、また電話がかかってきた。カスタマー・センターとの会話の経緯を伝えると、男は、なんだかんだと言いながら、遂に引き下がった。 
 
 「LAタイムズ紙は、良質な新聞と思ったが、まるでマフィアの集団だ」と、小生の頭の中は、怒りで渦巻いた(やや大袈裟か)。その後、何度か同紙から購読呼びかけの宣伝用の手紙が送られてきたが、いまだに購読する気にはならない。 
 
 メディア大手のトリビューンの破産申請のニュースに接して、思わず、1年半前の記憶が戻ってきた次第。LAタイムズ紙が悪いわけではないかもしれないが、一読者として、同罪と映る。それにしても嫌な電話だった。 


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