2008年12月30日10時55分掲載  無料記事
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二極化社会を問う

『年越し派遣村』12月31日、日比谷公園で開村 失業者や野宿者への支援 非情な大企業への「教育活動」も

  未曾有の大恐慌が吹き荒れ、非正規労働者を中心に大規模な「削減」が行われている年末の日本。政府はなんら有効な手立てを打つことができていない。このままではリストラを強行した企業によって社宅や寮などから追い出された人々が、厳寒の路上で過ごすことになる。12月31日、日比谷野外音楽堂前にて、労働組合、市民団体、弁護士らにより「年越し派遣村」開村される。奇しくもここは厚生労働省前である。12月29日、同じ場所で「年越し派遣村」実行委員らによる記者会見が催された。(村上力) 
 
  「年越し派遣村」は日比谷公園内の霞門(かすみもん)入って右手、日比谷野外音楽堂近くの場所で行われる。正確には12月31日、午前10時に開村。1月5日まで活動すると。名誉村長には宇都宮健児弁護士。村長はNPO法人 自立生活サポートセンターもやい事務局長の湯浅誠さんが勤める。 
 
  活動内容は、仕事や住宅を失った人々への労働相談、生活相談。これらの人々に対する炊き出しなどの食料対策支援。そして場合によっては「緊急住宅」も検討しているという。 
他にも、餅つき大会、行政や企業に対して不満をぶつける「大声大会」。労働者に関する映画の上映、識者を招いてのミニシンポや激励(1月3日には社民党党首の福島瑞穂氏を招く)、みんなで一斉に銭湯に入る「銭湯行動」、知覚障害者によるマッサージ、などのイベントが催されるという。 
 
  この「派遣村」では1月4日までの13時〜18時の間、労働相談窓口を設置する。そこでは労働組合や市民団体、日本労働弁護団、首都圏生活保護支援法律家ネットワークなどの弁護士の有志が、労働問題、生活保護問題、多重債務の問題などの相談にのる。なお、ハローワークの窓口は12月31日から1月4日まで閉まっている。 
 
  「派遣村」は5日で解散する。村長の湯浅さんによると、失業とともに住居を失った人への対策としての雇用促進住宅は東京にはもう殆ど無い。そこでこの「派遣村」は、失業者や野宿者による生活保護の申請をサポートする。来た人にはその後の行き場所を対応するという。 
 
  現在、「派遣村」では失業者、野宿者への食料品、飲料水、ホカロン、支援金などのカンパを呼びかけている。食料や飲料水は直接現地へ持ってきてほしいとのこと。 
また当日の炊き出しの準備などのボランティアスタッフを募集している。ボランティアスタッフは31日の午前9時に現地に集合ということだが、途中参加も可能だという。他、失業者や野宿者を励ますストリートミュージシャンや大道芸人も大歓迎するという。 
 
  「住宅の不足は深刻、生活の手当ても成されていない。その一方で企業は労働者を追い出し、この寒空の中で路頭に迷わせている。彼らは命を危険にさらしている。日本の大企業は赤字転落と言われているが、内部留保は大量。赤字でない企業もある。にもかかわらず、人を命の危険に晒していいのだろうか。そういうものを『企業の社会的責任』の観点から問いかけたい。どの企業も『人を大事にする』と言うが、そこで言う“人”の中には非正規の人たちは入っていません。そこで物のように捨てられる人たちも同じ人間なんだという事を今回の派遣村では示したい。そういう意味では、企業に対する教育活動でもある。我々の活動を見て、非正規の人たちも人間であるということを学んでもらいたい」と湯浅氏は述べた。 
 
派遣村ウェブサイト 
http://hakenmura.alt-server.org/ 
 
事務局 03-5371-5202 
年越し派遣村・臨時電話 090-3499-5244(12/31-1/5迄) 
 
◎カンパ物資の送付先 
〒160-0023 新宿区西新宿4-16-13 MKビル2F(※12/31以降は、日比谷公園内「派遣村」に直接お持ちください。) 
◎寄付口座 
みずほ銀行銀座支店(普通)2692964「派遣村寄付口座 弁護士 棗 一郎」 


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