2008年12月31日08時15分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200812310815043

イスラエル/パレスチナ

イスラエルのガザ虐殺に抗議 市民有志、NGOがイスラエル大使館前で行動 NGOらは外務省にも要請

  イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区の住民に対する殺戮が続いている。死者、負傷者は刻一刻と増加しているようだ。そのようなイスラエルの暴虐に対して、12月30日午後、駐日イスラエル大使館前にて、市民有志、NGOらが抗議行動に出た。なおNGOらは30日午後2時に、外務大臣に対しても要請書を提出した。(村上力記者) 
 
◆市民グループ、イ大使館に抗議のシュプレイコール 
 
  市民有志による抗議行動は午後2時に、駐日イスラエル大使館前  にて行われた。アジア連帯講座、ワールドピース・ナウ、立川自衛隊監視テント村、核とミサイル防衛にNO!キャンペーン、アタック・ジャパンなどの市民団体ら100人以上の人々が駆けつけた。 
 
  市民有志はイスラエル大使館に向け「空爆をやめろ」「生活破壊をするな」「見せしめの殺戮をやめろ」「難民の帰還を認めろ」「すべての入植地を撤退しろ」「日本政府は占領を支える援助をするな」などのシュプレヒコールをした。イスラエル大使館への申し入れ書は、大使館からは誰も応対には出て来なく、やむを得ずポストに投函した。 
 
    大使館前には20名ほどの制服、私服の警官、警察車両2台が配備されていた。警官らは大声で「どきなさい、移動してください」と命令し、申し入れ書読み上げ中にも、バイクが来ているのに「車が通ります、移動してください」と終始参加者を不快にさせた。 
 
  集まった市民らは「警察に妨害をされたのは初めてだ。イスラエルは警察に邪魔をさせないで、正面から言う事を聞いて欲しい」と訴えた。 
 
  イスラエル大使館のある麹町一帯には警官が多数配備されていた。 
 
◆NGOは無言の黙祷と献花でガザの犠牲者を追悼 
 
  午後4時からは、(社)アムネスティ・インターナショナル日本、(特活)アーユス仏教国際協力ネットワーク、(特活)日本国際ボランティアセンター、日本山妙法寺、日本YWCA、日本パレスチナ医療協会、(特活)パレスチナ子どものキャンペーン、パレスチナの子供の里親運動、ピースボート、生物多様性フォーラム、平和を作り出す宗教者ネット、「1コマ」サポーターズ日本聖公会東京教区エルサレム協働委員会の14団体が集まった。 
 
  集まった人々は蝋燭を手に、今回のイスラエルによる軍事行動で犠牲になったパレスチナ人へ黙祷をささげ、献花をした。死者への追悼の意味も込め、サイレント行動という形をとったという。またNGOや市民団体からのスピーチでは、現地から上がってきた情報や、今後の運動についての話がされた。 
 
  日本YWCAは、イスラエルによるパレスチナ人の殺戮を「21世紀のホロコースト」だと述べる。今後日本政府に対して、イスラエルにこういった行為をやめさせるようにイニシアティブを取るように働きかけるとともに、国連に対しての働きかけをしていくという。 
 
  日本パレスチナ医療教会なども、こういった行為をやめさせるために行動を続けると話した。 
 
  これらのスピーチの後、NGOらも要請書をポストに投函した。 
NGOらは今後、1月10日に関連するの集会を予定しているという。 
 
 
●以下は市民グループがイスラエル大使館に出した抗議文 
 
ニシム・ベンシトリット駐日イスラエル大使殿 
 
  本日私たちは、イスラエルがこの3日間に渡って続けている、ガザに対する軍事行動に抗議するためにここに集まりました。 
報道によれば、本日12月30日早朝までに、イスラエルによる空爆でパレスチナ人345人が死亡し、1450人が負傷しています。あちこちに死体がころがり、四方で火の手が挙がっていても、狭い、たった360平方キロの土地には逃げる場所さえない。ガザの150万の住民すべてが猛烈な爆弾の炸裂音と閃光のなか、死の恐怖と家族や友人を失った悲しみのどん底にいます。どこにも出口がないたった360平方キロの土地のなかで寒さと飢えに苦しみながら、ひしめくように暮らしてきた150万人の人々の上に、あなた方の軍隊は爆弾を落とし続けているのです。 
 
  あなたは日本のマスコミに対し、この攻撃は正しい、ハマースによるロケット弾攻撃には、我慢の限界を超えていた、とコメントしています。しかしそもそも、なぜハマースが、ほとんど何の効果もないロケット弾を発射するような事態に至ったのか、よく考えてみてください。ガザには、他でもないあなたがたの国の建国のためにその地を追われたパレスチナ難民が、押し込まれるようにして暮らしていた。そこをイスラエルが、1967年の戦争によって占領したのです。 
 
  あなたがたの国は40年あまりに渡ってガザ占領を続け、抵抗する子どもや若者を逮捕し、拷問で手足を折り、家族や関係者の住む家屋をブルトーザーで破壊するといった支配を続けてきました。こうしたイスラエルの惨く非人間的な支配のなかでこそ、ハマースはパレスチナ民衆の支持を得て成長したのです。ハマースの武装作戦には、パレスチナ人の中においても賛否両論があります。しかしまず、あなたがたの国が行ってきた占領こそが、現在に至るすべての問題の元凶だということを正しく認識してください。2005年、ガザ内部の入植地からは撤退しましたが、イスラエルがパレスチナ全土を占領状態に置き、ガザの境界における人の出入りをすべてコントロールすることは何ら変わりませんでした。ハマース政権の成立以後は封鎖を強化して人の出入りを禁じ、ガザ住民が衛生な水も電気もない劣悪な環境下で生きることを強い、その生殺与奪を握ってきました。民主的に選ばれた政権を世界から孤立化させ、パレスチナ人の未来への希望を奪い続けてきたあなたがたが被害者ぶるのは、厚顔無恥にもほどがあります。 
 
  冷静に比較してみてください。あなた方の国は、違法に占領している東エルサレムやゴラン高原を除いても、ガザの56倍の大きさがあります。あなた方の国は人口600万人にして16万人の兵力をかかえ、さらに40万人の予備役兵さえもっています。ほとんどが人口希薄な地域に落下して終わったハマースのロケット弾がイスラエル市民の生活にとって本当に脅威だったとしても、150万人の住民すべての上に爆弾を降り注ぐような軍事作戦は、いかなる意味でも正当化されるべきものではありません。 
 
  アメリカやイギリスの政治指導者が、自分たちの利益のためにあなたがたの行動に理解を示したからと言って、世界各地の民衆は、イスラエルの行動を決して許しません。今すぐ空爆を止め、地上戦への準備を中止してください。そしてパレスチナ人の人権を奪い続ける現在の政策を改め、入植地を撤去し、パレスチナ人と対等に共存してゆく姿勢を見せてください。 
 
2008年12月30日  ガザ空爆に抗議する12.30緊急行動参加者一同 
 
 
《下記のサイトでは、今回のガザ空爆に関する情報を得ることができる》 
 
●(社)アムネスティ・インターナショナル日本 
http://www.amnesty.or.jp/ 
 
●(特活)パレスチナ子供のキャンペーン 
http://ccp-ngo.jp/ 
 
●(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC) 
http://www.ngo-jvc.net/ 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。