2009年01月03日21時49分掲載
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二極化社会を問う
厚労省講堂を開放させた「派遣村」 「この後」に不安を募らせる村民
「派遣村」は、2日の午前中に厚労省講堂(中央合同庁舎5号館別館2階)の開放に成功し、講堂には村民の自由な出入りが可能となった。同日講堂に宿泊した村民はおよそ250名。「暖かかったです。村民の殆どが移動したけど、いびきも気にならないくらい、ぐっすり眠れた。」とその日講堂に宿泊した村民は話す。同時に、派遣村が終わる5日からどうするか、村民の不安は高まっている。派遣村実行委員会も、今後のフォーローアップ、宿泊所の確保を国、行政に要求していくいとしている。派遣村で労働相談・生活相談の対応に追われている首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は、「このままでは1月5日に200人近くの生活保護申請が必要な状況です」と述べている。(村上力記者)
講堂(写真)は体育館のようなつくりをしており、ソファーや自販機などが完備してある。村民はこの講堂にブルーシートを敷き、その上に布団を広げて寝ていた。しかしその講堂ももう僅かなスペースしか残っていない。
実行委員によると、3日は新たに69名の入村者が訪れ通算322名の登録となる。そのうち292名がテントおよび講堂に宿泊した。風邪などの感染を防ぐため、患者にはテントに宿泊をしてもらっているという。なお、中央区の廃校2箇所の開放の報道がされたが、食事の確保が難しいため遠慮するという。
今後他所の炊き出しの終了などにより流れてくる入村者の急増で、またテントが足りなくなることを危惧される。この日は池袋の炊き出しが終了する。「派遣村」は、引き続き国、行政に対して、宿泊所の確保を要求していくという。
加えて実行委員は、1月5日以降の村民にたいするフォローアップの重要性を強調した。「1月5日になったら、また寝るところも無いまま放り出すということが許されるのか。そこについては国にきちんと考えてもらいます」と実行委員の関根氏は話す。
村での相談件数は通算162件。内112名がFAXでの生活保護申請を済ませた。しかしながら村民の全体で考えるとまだ相談を受けていない人が多いのが現状であり、5日以降、また路上生活に戻る人が出てしまう可能性が考えられる。
おそらく昨日のうちに新しく来たのか、派遣村の相談テントの周りには、求人チラシやハローワークの求人募集のファイルが置かれていた。喫煙所で村民数名と会話をしたところ、皆5日以降の問題に対して不安を抱いていた。「このままではまた飯場みたいなところにもどってしまう。「住むところが無くては、ネットカフェですぐに金を使ってしまう」「議員宿舎を開放しろ」などの声が聞かれた。
このうち比較的若い村民は、相談所で撮影した履歴書用の写真を撮りに駆けていった。年配の村民は「あんな若いのに仕事が無いなら、俺にあるはずがない」と呟いた。相談件数は年齢別で見ると、20代14件、30代49件、40代46件、50代29件、60代15件、70代3件、残りは不明となっている。
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