2009年01月03日22時15分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200901032215076

イスラエル/パレスチナ

ガザの煉獄:犯罪的で卑劣  ミッシェル・ワルシャウスキー(オルタナティヴ情報センター)

  イスラエルにいながら占領反対、反戦運動を精力的に続けるオルタナティヴ情報センター主宰者、ミカドことミッシェル・ワルシャウスキー が1月2日に出した論考を紹介する。彼は述べる。「そのことについて、繰り返し言わねばならない。これはガザ地区で繰り広げられている戦争ではない。そうではなく、何も防備も持たない住民に対して世界第三位の空軍によって一つの煉獄が繰り広げられているのだ」と。粗訳ですが、ご勘弁を。転載歓迎。(在パリ、グローバル・ウォッチ コリン小林) 
 
  そのことについて、繰り返し言わねばならない。これはガザ地区で繰り広げられている戦争ではない。そうではなく、何も防備も持たない住民に対して世界第三位の空軍によって一つの煉獄が繰り広げられているのだ。 
 
  そのことについて、繰り返し言わねばならない。ガザの煉獄は、ガザ地区から近い近隣のイスラエルの町に向かって、イスラル聖戦派や他のパレスチナ小集団の活動家たちが発射するロケットにたいする「不均等な」リアクションなのではなく、すでに計画的で、以前から準備してい た行動であり、大半のイスラエルのコメンテーターの承知しているところだ。 
 
  そのことについて、繰り返し言わねばならない。これらのロケットの発射は、ヨーロッパの何人かの外交官が我々を信じさせようとしているように、「何も説明しようのない挑発行為」なのではなく、これらのけっこう取るに足らない(それを認めなくてはなるまい)反撃は、米国とま たヨーロッパとの犯罪的な協力の下、イスラエルによって一年半以来続 いている女、子供、年寄りを含むガザ地区の住民に対して課せられた野 卑な封鎖を前にしてのことなのだ。 
 
  そのことについて、繰り返し言わねばならない。これは、忘れっぽく選択的な記憶しか持たないものたちに説明しようとしているように、パレ スチナの攻撃に対して、何も正当化できない長い間遅れて気味になっている自衛作戦なのではない。エフード・バラクが問題なく、それを告白 している。ガザと呼ばれている『テロリスト集団(実体)』を叩くため に、何ヶ月も前から周到に準備して来たことなのだ。占領地における人 権問題の国連報告者リチャード・フォークが、的確に説明するように、150万の人口が集中して住むゾーンを『テロリスト集団(実体)』と規定するとき、ジェノサイドの論理へと入ることになるのだ。 
 
  2006年のレバノン攻撃とまるで同じように、イスラエルの攻撃は、テル アヴィヴにいる(そして、後数ヶ月はホワイト・ハウスにもいる)ネオコン政権の戦略家たちによる永続する予防的グローバル戦争のなかに、位置づけられる。 
 
  この名前が示すように、この戦略は、予防的で、即時の明白な説明は何 も必要としないのだ。すなわち、西欧の民主主義は、まず、『国際テ ロ』、ついで『イスラム原理主義のテロ』、そして最後には全く単に短く『イスラム』として識別されたグローバルな敵によって脅かされている、というのだ。ハンチントンの『文明の衝突』は、国際政治の現実の 記述ではなく、このように、80年代後半に共同で練り上げられたアメリカとイスラエルのネオコンの攻撃的な戦略の政治思想的な枠組みなのだ。この戦争の戦略の中で、イスラム原理主義の脅威は、冷戦時の 共産主義の脅威に取って代わったのだ。すなわち、グローバル戦争を正 当化するグローバルな敵である。 
 
  もし、ガザの犯罪的な空爆が、イスラエルでコンセンサスのできた支持 を享受するなら、既存的な左翼、とりわけ、メレッツが、エフード・バラクによって指揮される戦争オーケストラに、小さなピッコロを加える なら、間に合わなくならないうちに、イスラムがかもしだしている絶対骨抜きにすべき実存的脅威というヴィジョンをまさに分かち合っている からに他ならない。 
 
  犯罪の恐ろしさに、いますぐの理由の卑劣さを加えるべきだろう。この 2ヶ月以内に、イスラエルで総選挙が行なわれることになっており、パレスチナの犠牲者たちは、また選挙の論拠なのだ。ガザへのイスラエルの攻撃による殉教者は、エフード・バラクとツィピ・リヴィニ、エフー ド・オルメルトの間で、だれがこの狂暴さの中で最も決断できているか というメディア上での競争の対象物なのだ。労働党を指導する戦争犯罪者か、あるいは、残っているもの、今朝、世論調査の中で4ポイント上げたものだ。一万人ほどの声に対抗して、無垢の350人のパレス チナの犠牲者たちを取引する無制限のシニズムを越えて、バラクは、またも、政治家としての近視眼を見せたのだ。獣性の競い合いの中で、彼のすべての努力にもかかわらず、彼は、ベンジャミン・ネタンヤフを追い越すことはまず無理だろう。選挙民は、コピーよりオリジナルのほうが好きなのだ。 
 
  戦争指導者が今日、レバノン戦争をイスラエルの失敗に転換したものと 同じ問題にぶちあたっているので、ますます、植民地戦争を経験したものなら誰でも知っている問題:どのように終らせるか?が問題なのだ。「我々の「仕事」が済めば、やめるだろう」と、ちっぽけな指導者たちの傲慢さ一杯に、彼はそう表明した。しかし、この仕事は、いつ終わる のか?イスラエルの指導者たちの植民地主義的夢の前で、いつ、ガザと西岸地区の住民は、降参をうけいれ、壁に囲まれ、一つ一つちりちりバラバラになって孤立した12個ほどの保護地に縮められてしまった 「パレスチナ国家」という国民国家の希求を限定することを受入れると いうだというのだろう? 
 
  もし、これがバラクが実現したいと願っている 「仕事」なのだとしたら、イスラエルの民衆は、非常に長いだけではなく終わりのない戦争を受入れなければならない。そしてもしユダヤ国家 が、短期戦(ドイツ語でいうblitz krieg)によく武装されているとしても(とりわけ、航空機によって行なわれる時)、彼らは、パレスチナの人々、植民地化の弾圧の犠牲者の民衆のように、戦闘の主役となって動く耐久戦になると、早期に危機に陥るだろう。 
 
  戦争が開始されてから、一週間経つ前に、政治家や軍人の誉れに満ちた 声明にもかかわらず、イスラエルの雰囲気は、すでに変わりつつある事を説明している。先週土曜に、ガザの空爆の後で、私たちは1000 人強くらいで自発的に、我々の怒りと恥を表明するためにデモしたが、 今度の土曜日には、イスラエルに対する国際的な制裁とエフード・バラクとそのチームを国際刑事裁判所にかけようという私たちの仲間は、 もっと多くなるだろう。私はそう確信している。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【MLコミュホームページ】http://www.fr 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。