2009年02月24日12時43分掲載
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遺伝子組み換え/ゲノム編集
豪・西オーストラリア州 遺伝子組み換えナタネ試験栽培開始を発表
これまで同州で組み換え作物の栽培を禁止してきた「GMモラトリアム」(組み換え作物栽培一時停止措置)の期限切れを翌日に控えた2008年12月23日、オーストラリアの西オーストラリア州は遺伝子組み換えナタネの試験栽培を始めることを発表しました。08年初めにGMモラトリアムを解除したニューサウスウェールズ州、ビクトリア州に続きオーストラリアでは三番目の解禁であり、日本の消費者代表団の派遣などかねてからこの問題に反対の意思を表明し、運動を続けてきている日本消費者連盟(以下日消連は抗議文と公開質問状を送った。(『消費者リポート』特約)
◆規模は1000ha
同州の記者発表資料によると、組み換えナタネの試験栽培は09年の作付けから1000h規模で行なわれる予定。モンサント社のラウンドアアップレディ・ナタネが使われ、穀倉地帯だけでなく降雨の少ない地域でも栽培を試みるといいます。
同州のレツドマン農業大臣は、組み換え技術導入により、農家は選択権を手に入れるとともに事業拡大や生産性の向上も期待できると述べていますが、そこに消費者への配慮はまったくありません。また、現地で組み換え作物反対運動を展開する『憂庫ずる農民ネットワーク』のジュリー・ニューマンさんは、「非組み換えナタネを栽培しようとする農家にとっては厳しい事態」と懸念を表明しています。
◆公開質問状を送付
この問題に足掛け2年にわたり取り組んできた目消連は08年12月26目同州首相と農相に試験栽培開始に対する抗議文と公開質問状を送りました。
質問状では、組み換えナタネ栽培開始後の分別・管理の具体的方法や栽培地等の情報公開について問いたほか、最近ヨーロッパで発表された、組み換え作物を長期給餌したラットの繁殖や免疫系に異常が認められたという研究結果への見解を聞きました。
08年初めにGMモラトリアムを解除したニューサウスウェールズ州、ビクトリア州に続き、試験的とはいえ西オーストラリア州も組み換えナタネの栽培に踏み出したことで、日本の消費者が安心して非組み換えナタネを調達し続けることは一段と難しくなっていきます。
しかし、現地では栽培地の監視や食品への表示を求める運動が活発化しています。今後も現地の人たちと連帯して、遺伝子組み換え作物のない世界を取り戻すため努力を続けなければなりません。(轍顧)
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