2009年03月11日11時58分掲載  無料記事
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文化

【映画】『女工哀歌(エレジー)』を観て 「世界の工場」中国の労働現場  紅林進

  中国、四川省の貧しい農村から広東省の縫製工場に出稼ぎに来た少女ジャスミン・リー(16歳)をとおして、「世界の工場」となった中国の労働現場の現実を描くドキュメンター映画。彼女はブルー・ジーンズの糸くずをハサミで切る仕事を延々と続ける糸切り係りの女工。この縫製工場の労働はまさに苛酷である。映画は3月17日、東京・ウィメンズプラザで大竹財団、アジア太平洋資料センターなどいくつかのNGOの共同主催で上映される。 
 
  最低賃金以下で労働者を安く働かせ、納期に間に合わせるためには、残業代も支払わず、徹夜の作業もさせる。給料の遅配もしょっちゅうである。2段ベッドに1部屋12人の少女たちが寄宿し、給料から寄宿費や食費を引かれ、遅刻や私語、居眠りなどには容赦なく高額の罰金が科せられる。少女たちは目を閉じないように洗濯バサミでまぶたを挟んで目を閉じないようにして働いたりもする。その彼女たちの平均時給は0.5元(約7.8円)であるとのこと。中国では15歳以下の労働は禁止のはずだが、16歳のジャスミンは年長の方で、14歳とかの少女が年齢を偽って働いている。工場側もそれを知っていて使っている。 
 
  「世界の工場」となった中国には、彼女のように農村から都市に出稼ぎに来て働く「農民工」が1億3000万人もいる。総人口の1割に当たる。 
 
  それにしてもジャスミンが、自分たちの作ったジーンズを誰が穿くのだろうと想像を膨らませ、ジーンズのポケットに手紙を忍び込ませたいと想うのに対して、私たち先進国の消費者は、ジーンズやその他の物資を誰がどのようにして生産したか想像してみたことがあるだろうか。私たちの穿くジーンズがこのような過酷な労働によって生産されていると想ったことがあるだろうか。私たちは私たちの生活を支えている世界の現実にもっと目を向け、私たちの社会の消費や生産の在り方を問い直し、変えてゆく必要があると思う。 
 
『女工哀歌(エレジー)』(原題『China Blue』)。ミカ・X・ペレド監督、2005年作品。 
公式サイトは: 
LINK: 『女工哀歌』公式サイト 
http://www.espace-sarou.co.jp/jokou/ 
 
3月17日(火)、18時45分から、東京・表参道の東京ウィメンズプラザ・ホールで上映予定。問合せは: 
財団法人大竹財団 
事務局 関盛孝友 
sekimori@ohdake-foundation.org まで。 


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