2009年03月12日11時29分掲載
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中南米
エクアドル政府、環境団体の法人格をはく奪
3月9日、エクアドル政府は、国際的にも著名な環境団体であるアクシオン・エコロヒカの法人格をはく奪した。報道によるとコレア大統領は、NGOは「好き勝手を行い、不適切に政治に介入している」とみなし、更に「国内には3万のNGOなど非営利組織が存在するが、その95パーセントが法的な手続きを満たしていない、こうしたものを排除するのだ」と語っているとのことである。[1]背景には鉱業開発に対する環境NGOの批判封じ込めがあると見られている。(青西靖夫)
政府の決定に対し、アクシオン・エコロヒカはそのホームページで「設立目的を逸脱している」という名目で法人格がはく奪されたが、これは政治的弾圧だと告発している。
ホームページにおいてアクシオン・エコロヒカは次のように訴えている。
「アクシオン・エコロヒカは、エクアドルの新憲法にも定められている、自然資源を守り、健康な環境を保全し、自然の権利を擁護するという目的と原則にそって活動してきたのであり、これは健康への権利も含んだ”Buen Vivir ”(良き生き方)に到達する基盤でもある」
「1986年に法人格を取得して以来、年次報告といった義務を果たしてきており、いまだかって観察意見等を受け取ったこともない。対話もない、今回の手続きは正当な手続きとは言えない」
「これは単なる行政的な整理ではなく、アクシオン・エコロヒカが様々な組織と行ってきた、特に鉱業法と大規模な鉱山開発へのに反対運動への報復であることは明らかである」[2]
エクアドルは昨年10月に新憲法を制定し、その憲法は「自然の権利」を認めるなど、世界で最も「緑」とも言われている。その一方でコレア大統領は鉱業振興に前向きであり、議会に対し早急な新鉱業法の承認を求め、今年1月末に新鉱業法が施行された。
しかし鉱山開発に反対するアクシオン・エコロヒカをはじめとする環境NGOや先住民族組織は、新鉱業法は憲法に定められた権
利を侵害し、また多国籍企業を優遇するものであるとの批判し、鉱業開発を促進したいコレア大統領との溝が深まっていた。こうした中で今回の事件が起きたのである。
既に昨年来凍結されていた2つの鉱山の再操業が許可されたという報道もあり、環境と鉱業開発を巡って、また4月26日に予定されている総選挙に向けて緊張が高まっていくことが予想される。
[1]http://www.expreso.ec/ultimas-noticias/?codigo=2009310142752 他
[2]アクシオン・エコロヒカ http://www.accionecologica.org/index.php
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