2009年03月21日00時01分掲載  無料記事
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TPP/脱グローバリゼーション

”水は人権” 世界水フォーラムで水の公正(ウォーター・ジャスティス)求め、市民グループ・NGOが活動

  3月16日から22日かけ、トルコのイスタンブールで開催されている第5回ファーラムは、水の公正(ウオーター・ジャスティス)を求める世界中からやってきた市民運動家やNGO活動家の声を背景に波乱含みの展開となっている。アクティビストたちは、“水は人権”を合言葉に、「今回の水フォーラムをグローバル水企業影響下で開催される、最後の水フォーラム」としようと呼びかけるデモやシンポジウム、ワークショップなどさまざまな活動を展開しており、日本からも水問題に取り組んでいる市民グループやNGOが参加、世界の市民とともに活動している。(大野和興) 
 
  水フォーラムに京都から参加した市民グループのメンバー山本奈美さんは、第一報で次のように伝えてきた。 
 
「世界の水問題への解決策を探るため、世界中から3万人の関係者が「参加」する、トルコでの最大の国際イベントのひとつ、と報道されています。イスタンブールに駆けつけているのは、3万人の約3万円の参加費という、日本の一般市民はおろか、貧しい国で水問題の影響を直接受けている人々には払えるはずのない金額を払って参加している人々ばかりではありません。世界中で「水の公正」を求めて日々活動しているウォーター・ジャスティス・アクティビストも集結しています」 
 
「ところが、平和的に「水の公正」を求めている世界からの市民に対し、トルコ政府側は大きな弾圧をかけています」 
 
「まず、16日にデモが開催され、世界水フォーラム会場に向けて、300人ほどの世界やトルコからの市民が行進しました。『水はいのち、利益をうみだすものではない』と平和的に行進していた市民に対して、高圧放水銃や催涙ガスが使用されています。そのデモでは、17人が逮捕されました」 
 
「また、2人の外国人が17日に逮捕され、拘留されています。インターナショナル・リバーのスタッフ二人が会場の入り口で、『大規模ダムが人々や地球に悪影響と危険を与えている』というバナーを掲げ、世界水フォーラム参加者に対して、『すでに存在する、よりスマートでクリーンな解決法を選択するよう』訴えていました」 
 
「彼らは、『トルコの刑務所で1年間拘留か、即時強制送還(自費)か』の『選択』の余地を与えられている、といいます」 
 
「また、財政に関するパネルに参加していたドイツからの活動家が、6人の警官につかまれて、強制的に外に連れ出されました。彼はパネルのディスカッションの場で発言を求めていたにも関わらず、それが拒否され続けたのですが、その挙げ句ディスカッションが議長の言葉『インクルーシブで透明性に基づいて議論ができて光栄でした』で締めくくられた時に、『WWFが透明で民主的だというのなら、企業にとって有利な形でなく、国連の枠組みで開催するべきだ¥』と叫んだことが理由です。彼は10分ほど拘束されました」 
 
「プレスルームでも、ジャーナリスト用のパソコンのインターネット履歴をチェックする諜報員の姿が確認されているぐらいです」 
 
「このような、表現の自由に対する大きな弾圧が明らかになっていますが、主催者である世界水会議(マルセイユにある、グローバル水企業の影響下にある民間シンクタンク)からは何の発言も認められていません」 
 
「ドイツからの活動家が叫んだように、今回の世界水フォーラムは、『グローバル水企業影響下で開催される、最後の水フォーラム』とし、今後は国連などの国際機関の主催で開催するよう、世界のウォーター・ジャスティス・アクティビストは求めています。世界水フォーラムでは、水を企業の利潤を生み出す『青い金』とみなすグローバル水企業間で世界の水問題について討議されている場でもありますが、それを機会に、人々発案で、インクルーシブで、民主的な解決法を求めて活動する人たちの意見や経験の交換の場でもあり、興味深いオルタナティブの数々が討議されています」 
 
  こうした動きを背景に、イスタンブールでは公式行事と並行して市民・NGOが「もう一つの水管理は可能」キャンペーン」(Another Water Management Is Possible Campaign)と、「水の私営化に反対するプラットフォーム」(No to Privatization of Water Platform)のふたつのネットワークを立ち上げ、いくつもの行動がもたれている。 
 
  まず、「キャンペーン」は3月19日に「すべての人に水を:我々の共有物としての水...挑戦と解決策(Public Water for all: Managing Our Water Commons… Challenges and Solutions)」というイベントを開催した。世界的な水危機とその解決策を模索するために、世界水フォーラム内外の関係者に広く参加を呼びかけて おり、「水への人権」を宣言することを目的としている。。 
 
  3月20日〜22日にかけて、「もう一つの水フォーラム2009(Alternative Water Forum 2009)」(リンク先PDF)を開催されている。こ れは、ラテン・アメリカ、アフリカ、アジア、ヨーロッパなど、水を巡る世界各地の人々の運動を紹介し、「水は人権である」ことを広く訴えかけるフォーラム である。 
 
  一方、「プラットフォーム」は3月15日〜22日に「水の商品化に反対プラットフォーム」を開催します。こちらはデモ、ワークショップ、フォーラムなど、さまざまな手法で水の商品化への反対を訴えている。 
 
  これら二つの現地での動きに加え、今回の世界水フォーラムでは3月14日〜3月22日を「水への公正を求めるグローバル行動週間(The Global Week of Actions for Water Justice)」と設定し、世界各地でこの主旨に沿った行動を呼びかけている。18日にはコロンビアで水を守るデモンストレーションが計画されたり、 20日には「すべての人に水を」というキャンペーンがポルトガルで開催された。 
www.peopleswaterforum.org 
 
  世界水フォーラムの模様は、日本の市民グループAMネットの以下のサイトで知ることが出来る。 
http://am-net.seesaa.net/ 
 
■詳細は以下でー 
Turkey deports two International Rivers staff 
(トルコ政府、インターナショナル・リバーのスタッフ二人 
を強制送還) 
http://www.internationalrivers.org/en/node/4008 
 
World Water Forum opens with brutality and repression 
(世界水フォーラムは、暴力と弾圧で開催日を迎える) 
http://worldwaterforum.blogspot.com/2009/03/world-water-forum-opens-with-brutality.html 
 
Police forces still all over the place in WWF venue 
(警官で埋め尽くされているWWF会場) 
http://worldwaterforum.blogspot.com/2009/03/police-forces-still-all-over-place-in.html 
 
以下のサイトでは動画を見ることが出来る。 
http://aguamisangre.wordpress.com/. 
http://www.dailymotion.com/video/kLutbcVvRDnFARZlkQ 


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