2009年07月23日10時51分掲載
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生活
食品放射線照射で反対署名 栄養素の破壊やがん発生の懸念も
日本消費者連盟などで構成されている「照射食品反対連絡会」は2009年8月末をめどに、厚生労働大臣宛の「食品に放射線を照射することに反対する署名」活動を行っている。厚労省は、スパイス業界の要請する香辛料(94品目)の照射許可に向けて薬事・食品衛生審議会に諮問しようとしており、それに向けての消費者の運動だ。日本消費者連盟の富山洋子さん(代表運営委員)の警告を紹介する。(日刊ベリタ編集部)
◆消費者には照射食品を避けるすべがない
日本では現在、唯一ジャガイモの芽止めのためのみ照射が認められ、その他の食品には、どのような目的であれ放射線の照射は食品衛生法により禁止されています。しかし厚労省は、スパイス業界の要請する香辛料(94品目)の照射許可に向けて薬事・食品衛生審議会に諮問しようとしています。
消費者には照射食品を』避けるすべがない 放射線を食品に照射すると、被曝した食品は成分が変わり、ビタミン類など栄養素は破壊され、新しい物質も生じます。なかでも被曝により生成されるシクロブタノン類は、ネズミの実験で大腸に多数のがんを作る可能性が示唆されています。他の臓器でのがんの発生や子孫への悪影響も危惧されますが、厚労省は慢性毒性実験など、これらに係る試験をしようとしていません。
食品照射については、その食品が照射されているかどうかはもとより、照射線量・回数を調べる方法(検知法)がないため、管理・監視もできず、照射食品が流通すれば、消費者は照射されたものを避けることが困難になります。
◆メリットがあるのは原子力産業界と一部流通・貿易業者だけ
腐敗を防ぎ食中毒なども減少させると言いますが、照射が認められているジャガイモでは、被曝のために菌に対する抵抗力が落ち、腐りやすくなるということがわかっています。食中毒を防ぐに至っては、原料に放射線を照射しても、その後の菌の二次汚染には威力がありません。二次汚染を防ぐためには食料を完全密封する必要があり、コストがかかり過ぎます。
また、食品照射で集団食中毒を防ぐとすれば、各々の調理現場に照射施設を作る必要があり、調理人の被曝が問題になります。
食品照射にメリットがあるのは、原子力産業界と一部の流通業者、輸出入に関わる企業です。今回の署名には、こうした原子力の商業利用拡大をくい止める目的もあります。当面同年8月末の第二次集約まで集めていく予定です。
(富山洋子)
関係資料・連絡先:
照射食品反対連絡会
http://sites.google.com/site/noshousha/
食品照射ネットワーク
http://www.sih.jp/news/s_menu.htm
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