2009年07月30日06時38分掲載  無料記事
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YouTubeが語る  オバマ大統領の核政策転換に反対する米政府アジア専門家  最大の理由は「日本政府が反対している」

 一本の短い映像が次第に波紋を広げている。米国のNGO「憂慮する科学者同盟」の上級アナリストグレゴリー・カラキーさんが語りかける。「オバマ大統領の核政策転換に反対する勢力がいる。彼らは日本の外務省、防衛省の意向を受けて動いている」。オバマ米大統領の核廃絶プラハ演説に対し、世界で唯一の核兵器被害国日本の官僚が抵抗しているというのだ。5分ほどのこの映像は平和NGOピースデポによって制作され、字幕を付けてyoutubeにアップされている。(日刊ベリタ編集部) 
 
  映像で語りかけるグレゴリー・カラキーさんは、オバマ大統領の科学特別顧問のジョン・ホールドレンに近い学者で、「憂慮する科学者同盟」で世界安全保障プログラムを担当する上級アナリスト。「憂慮する科学者同盟」は40年前、核戦争の危機を憂慮する科学者によって作られ、現在135人の研究スタッフと1500万ドルの予算を持って活動、現在は核問題のほか気候変動やエネルギー問題にも取り組んでいる。 
 
  グレゴリーさんの話を要約すると、以下のようになる。 
 
「米国は外交政策の基本として『核態勢見直し(NPR)』に入っており、重要な局面を迎えている。米国は9月から10月に新しい核政策を決定しようとしているが、米政府部内、国務省、国防総省、国家安全保障会議のメンバー、特にアジア専門家の間に、オバマ氏の構想に反対の人たちがいる。その理由は、日本政府の『懸念』で、日本の外務省、防衛省など安保外交政策を担当する官僚が、『米政府は核政策を転換しないように』と訴えている。人類史上初めて核兵器の攻撃を受けた国の政府が核政策の転換に反対するのは皮肉であり悲劇だ。日本国民はオバマ氏の核廃絶ビジョンを支持する声を上げて欲しい」 
 
  ビデオ中の核態勢見直(NPR)というのは、アメリカの核戦略の基本的なガイドラインのこと。グレゴリーさんの話によると、アメリカ政府の核政策はNPRに法的に縛られる。つまり、オバマ演説もNPR次第で、先へ進まないということになる。 
 
 この映像を企画したピースデポは「核兵器廃絶にとって、『この秋までが勝負!』という重要なメッセージをより多くの人に伝えたいと思ってビデオを作成しました、と語っている。 
 
映像は以下で見ることが出来る。 
 
http://www.youtube.com/watch?v=itFI87hixy0 
 
この映像については、制作者の一人である翻訳家の池田香代子さんが、自身のプログでも取り上げている。 
 
「池田香代子ブログ」 
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/ 


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