2009年08月03日15時23分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200908031523571
社会
在特会ら「親子で平和を考える催し」に押しかけ妨害
夏休み。親子で戦争と平和について考え、話し合おうと企画された催しが右翼の妨害にあい、厳重な警備の中で開かれるという事態になった。東京・三鷹で8月1日から3日まで開催されている「夏休み・親子で平和を考えるー〈アジアで何があったの? みて・きいて!お話し と 「慰安婦」展〉」でのこと。従軍慰安婦の写真パネルとこの問題に取り組んでいる人たちの話を聞く催しで、三鷹市市民協働センターの会議室でフィリピン元「慰安婦」支援ネット・三多摩(略称「ロラネット」)などの主催。会場には初日から催しの妨害をねらった右翼が押しかけ、2日目に8月2日には 「パネル展」参加者の一人(女性)が、入る時のもみ合いで右翼に殴られるか何かで顔に負傷し、救急車で運ばれるという事態さえあった。押しかけた右翼の多くは、日刊ベリタがかねてから追及してきた「在日特権を許さない市民の会」(在特会)など、市民運動の体裁をとって激烈な排外主義を振りまく集団。今回はこれに街宣右翼も加わり、会場周辺は騒然となった。(大野和興)
この催しは当初7月29日から8月3日まで展示ホールで開催されることになっていた。しかし右翼の妨害を恐れた三鷹市がホールの利用を拒否、主催者の市民グループが粘り強く交渉した結果、市民協働センター会議室で開かれることになった。催しの内容は次のようなものである。
8/1(土)講演とパネル展示
8/2(日)戦争体験のお話とパネル展示
「戦争体験と私」−私が女学生だったとき、私が中学生だったとき−
8/3(月)「慰安婦の声」VTR上映とパネル展示
子どもたちと一緒に静かに戦争と平和を考える企画であることがよくわかる。この催しに右翼がつぶそうを押しかけた。何が起こったのか、会場に出かけた人たちからの報告のいくつかを紹介する。
◆初日目の8月1日◆
在特会、主権回復の会などのメンバーは午前11時すぎから会場前に集まり始めた。時間がたつに連れて増え、日の丸旗などを持ちながら50人以上が会場入口で妨害。
施設職員、警備会社が前面で対応。警視庁の腕章をした刑事が交代制で15人くらい?機動隊も控えていたようだ。主催者側は、入口を固めた職員の隣で、入館OKの人だけ入れるという構え。入口周辺はちょっと近寄りがたい状態。入口にも10人ほどが詰めかけ、がなりたてたている。結局は入れなかった人もいた。
講演会が終わっても、妨害者の妨害は終わることなく、参加者は帰りも10人ずつ入口をでる。警察が警備する、といいながら、妨害者を参加者の真横まで近づかせている。彼らは差別と憎悪に満ちた騒音をがなりたて、いまにも殴りかかってきそうな感じだった。
妨害者たちが会場前でがなりたてる内容は、そのいっさいが差別と排外主義と憎悪に深く根ざした、そして単純で底の浅い、聞いてて恥ずかしくなるような内容。それを必死にがなりたてる。民族差別、性差別、人権侵害などなど人間の汚いところを集めたらこうなるんだな、という発言のオンパレードだった。
◆2日目の8月2日◆
会場に着いたら街宣右翼が入り口につながる道路に侵入しようとして、警察に止められていた。さすがに街宣車はとめるようである。それをかわして会場前に来たら、もう10人ほどの右翼。まだマイクがないのか、街宣車右翼との違いを出すためか静か。
会場入り口は、警備員と警官隊と主催者で固めていた。10時過ぎから参加者もちらほらと。会場の外では右翼が参加者にむけて罵倒をはじめた。きたない言葉。結局また、「中に入れろ」と入り口をふさぎだしたので、主催者がつよく警備を要請、参加者の出入りを確保する。
「在特会」系と「街宣車右翼」系合わせて100人規模の動員。昨日と同様、歩道から入り口のところで彼らが「入れろ」と騒ぎ、終日一般の人が入れない状態が続く。「パネル展」参加者の一人(女性)が、入る時のもみ合いで右翼に殴られるか何かで顔に負傷し、救急車で運ばれる。彼女は三鷹署に「被害届」を出したとのこと。
《ある参加者の話》
第1日目は夫が、第2日目は私が参加しました。
100名前後の「在特会」が、会場の門前で、参加者への威嚇、罵声、激しい妨害、シュプレッヒコールが繰り返される中で、静かに整然と、会は行われました。
中にはいるまでに3時間も待たされ、お話が半分しか聞けなかった方もいたし、怪我をした方もいました。終了後、参加者は、掴みかからんばかりのヒドイ罵声の中、静かに会場をあとにしました。
何が起こっているのか、なぜ起こっているのか、多くの市民が静かに見守り、考え合うきっかけにしましょう。
私は入るとき、「慰安婦の強制連行は合ったのか、どう思うのか」と詰め寄られました。私は、「答える必要はありません」とだけ答えました。しかし、あの場では、何も通じません。静かに行動するしかありません。それでも、一人一人、話し合える場がほしいと思っています。
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。