2009年09月12日11時34分掲載  無料記事
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ロシアン・カクテル

(8)不思議なロシア語 「ポーニョポーニョ…」:「分かった、分かった」 タチヤーナ・スニトコ

  「”ヨ”イショ!」(Ё大文字;ё小文字) 
 「ヨ」という文字はロシア語アルファベットでは一番“若い”(一番最後に作られた)文字です。 女帝キャサリンの親友エカテリナ・ダスコヴァ公爵夫人 が1783年にクリスマスツリー を見てその文字(「それ」を「その文字」としました)を作りました。ロシア語ではクリスマスツリー は「Ёлкаヨルカ」と言います。女帝キャサリンはドイツ人でしたので、その文字の上の点々はドイツ語の“ウムラウト、Unlaut” (Ö.Ä,Ü)の影響ではないかと思っています?不思議なことに、 大文字「Ё」はカタカナの「ヨ」を鏡で写したような文字でしょう。 
 
 ロシア語は不思議な言葉です。恋を告白するとき、ロシア人は “yellow blue bus” (黄色い青いバス、ロシア語では、Я люблю Васヤー リュブリュー ヴァス)と言います。 
 男性が「ポーニョポーニョ・・・」と言うと、その「ポーニョポーニョ・・・」という言葉は、「分かった、分かった」という意味です。女性は「ポニョラ」と言う。この“ラ(–la)”は女性名詞につく過去形を意味しており、不思議なことに”ピザーラ(Pizza-la)“ととてもよく似ています。 
 
 ロシア人は「キス、キス」と言いますと、キスしたいと思われるかもしれませんが、その言葉で猫を呼び寄せるのです。子供たちは自分の子守り(保母、育児婦)を「ニャーニャ」と呼んでいますが、これと似ていますね。 
 
 時には、私は、ロシア語という言葉は、ロシア語を学ぶ人を困らせるために創られたのではと思うくらいです。“ヤマ”はロシア語で「山」ではなく、「穴」を意味します。「ダー」は“はい”で、「ニエーテ」は“いいえ”という意味です。 それでは、「ダー ニエーテ」 はどんな意味だと思いますか? それは、「いえ、かもしれない」という意味なのです。 
 
 ロシア語のアルファベットとちょっと眺めると、ロシア語というのは暗号として創られたのではないかと人は思うかもしれません。いくつかのロシア語のアルファベットは英語のアルファベットと同じ字です。しかし、発音は全く違います。 
 ロシア語アルファベット文字の“P” は英語の“R”のように発音されます。 ロシア語アルファベット文字の“B”は、英語の“V"のように、“X”は英語の“H"のように、”H”は英語の“N”のように、などです。 
 日本語の「私“はロシア語では「ヤ」と発音し、そのロシア語の文字は“Я”です。これは、英語の文字「アール、R」を鏡で写したような文字です。 
 
 アルファベット(“alphabet”)の起源は、その昔地中海沿岸に住んでいたフェニキア人が創り出したと言われています。その後、そのアルファベットはひとつの文化から別の文化へそれ以前からあった文字に上重ねするように伝播していきました。そのようにして、ギリシャ語アルファベットやラテン語アルファベットから、ルーン文字・ゴシック文字・キリル文字アルファベットのようなヨーロッパのいくつかの書体が創り出されてきたのです。 
 
 「アルファベット、“alphabet” 」という言葉自体、その起源はフェニキア語です。「アルファ “alpha”」 は「雄牛」を意味し、「ベット“bet”」は「家」の意味です。それで、アルファベット、“alphabet”」は「牡牛の家」という意味です。 
 
 ロシア語では「アルファベット」は “azbuka”です。古代スラブ語では、[az]は「私」を意味していた。「ブルガリア語では“私”は“az”です」。 “Buki”は 「文字」を意味します。面白いのは、ロシア語の “buki”とドイツ語の“Buch”(本)の起源は、「ぶな」という木の名前です。「ロシア語:«бук»、ドイツ語:“Buche”」。ロシア語のアルファベットを意味する言葉「Azbuka」は[私は文字です]という意味を表しています。 
 
 キリル文字アルファベットの字には特別の名前がつけられており、それらの名前にはある意味があります。それらの文字の真の意味は秘密であるとされています。 
例えば、文字 [Ы] の元々の意味は、“太陽”・“神”です。ロシア語を学ぶ学生は、その文字を字の形からよく ”61” と呼びます。 
 
 “B” (“ヴェヂ“)は「知る」を意味する動詞です。語源はサンスクリット語です。(ヴェーダはサンスクリット語で「知識」を意味し、アジアが起源の経典の集大成です。) 
[М] (ミスレテ)は 動詞「考える」の二人称複数命令形です。不思議なことに、それはまた、文字を書くとき手の動き方にならって「酔っ払いの足取り」の意味でもあります。 
 
 ロシア語は不思議な言葉ですけれど、学ぶことは原宿竹下通りを歩く人のような可愛さはないかもしれないけれども、また派手さはないかもしれませんが、一度ロシア語に取り組んでみませんか?違った世界が見えますよ! 
(つづく) 


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