2009年10月05日13時16分掲載  無料記事
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社会

在特会ら、デモ批判者を数十人で殴打 新政権誕生に危機感、暴走する”行動する保守運動”と日本社会の排外主義の胎動

  動画サイト「YouTube」などで、日の丸を打ち振る群集が一人の男性を集団で殴打している動画が配信されている。この動画は、今年9月27日に保守系市民団体「在日特権を許さない市民の会(以下、在特会)」などが主催した「9・27外国人参政権断固反対!東京・秋葉原デモ」での一幕。動画を見ると、デモ行進に抗議するとして、デモコースの沿道で「排外主義 反対です」と書かれた紙を掲げていたところ、デモ参加者ら数十人が過剰反応して襲い掛かっている。主催者によればこの日のデモ参加者は400人ほどとされているが、現場の目撃者によれば700人以上が参加していたという。政権交代に危機感を持った”右派市民運動”が暴走し始め、行動が凶暴化しているという見方も出ている。また動員数が増えてきているのも見逃せない。(村上力) 
 
  この集団殴打の映像は、以下のURLで見ることができる。 
(1):http://www.youtube.com/watch?v=Q8b2wivPsyE# 
(2):http://www.youtube.com/watch?v=tTyANPKCczc&feature=related 
 
●参加者の激増 
 
  この集団殴打が発生したのは、在特会が主催する「9・27外国人参政権断固反対!東京・秋葉原デモ」の最中である。このデモは、全国各地に支部を設置している在特会が、「外国人参政権断固反対!全国リレーデモ(以下、全国リレーデモ)」と称して、札幌(9・13)、名古屋(9・20)、東京(9・27)、福岡(10・4)、大阪(10・10)の順に行っている運動の一環である。 
 
  在特会は今年5月2日に、「外国人参政権断固反対!全国一斉デモ(以下、全国一斉デモ)」という、「全国リレーデモ」デモと似たような行動を行っている。これは5月2日の同じ時間に、国内4都市(札幌、東京、名古屋、福岡)で一斉にデモ行進を行うという企画である。在特会会長桜井誠氏のブログによれば、「全国一斉デモ」の参加者数は、福岡約30人、名古屋約60人、札幌約50人、東京約300人とされている。また、地方でのデモ行進には「行動する保守運動」参加団体(※1)以外の保守系団体「日本会議北海道支部」「日本を大切に思う道民の会」「維新政党・新風愛知本部」などが協力している。 
 
  現在行われている「全国リレーデモ」の場合、在特会会長桜井誠氏のブログによれば、参加者数は札幌50人とあまり変化がないものの、名古屋160人、東京400人と、地方都市でも増加の傾向にある。また、「全国一斉デモ」とは違い、地方でのデモは「行動する保守運動」参加団体のみで行っている。 
 
●暴走する「行動する保守運動」と日本社会の排外主義の胎動 
 
  集団殴打が発生した今回のデモは、デモ行進出発前集会で主宰の在特会会長桜井誠氏が、以下のように注意を促している。 
 
「阿呆なシナ人朝鮮人、そして反日極左が手を出してくるかもしれません。そのときは必ずやり返すように。いいですか、こちらから手を出すことは主催者たる私が許しません。しかしながら、手を出してくるような犯罪者に対して、我々はひるむことはない。袋叩きにして、二度と我々に、正義に逆らえないようにするんです」 
 
  ところが上記の動画(1)を参照すれば、デモに抗議した男性に突っかかり、掲げていた紙を奪い取ったのは、「主権回復を目指す会」の西村修平氏であることが確認できる。西村修平氏が先に手を出し、集団殴打を誘発していることは間違いない。なお、デモ参加者のブログには、西村修平氏から、揉め事が発生した場合には全員で駆けつけるように教えられていると記述してある。(※2) 
 
  また、保守言論の多くが民主党政権を敵視しているのと同様に、「行動する保守運動」も民主党政権に対する敵意を共有している。桜井誠氏などは、民主党政権によって「行動する保守」は「反体制派」となり、「保守レジスタンス」に生まれ変わらなければならないなどと危機感を煽っている。また外国人参政権に関わる法案が成立した場合、その日を「Xデー」として、なんらかの行動を起こすとブログで宣言している。現在行われている「全国リレーデモ」は、それを視野に入れた運動であるとのことである。 
 
  在特会をはじめとする「行動する保守運動」への参加者が増加し、勢力を拡大しつつあることは、日本社会における排外主義の胎動を意味している。政権末期の自民党が、耳を疑う排外主義的な言説を吐露していたことを想起すれば、在特会のような運動に政治家がコミットし、今後政治に影響力を持つことも考えられる。なお『日刊ベリタ』では、在特会の活動を礼賛し、「在日特権」なるものの「是正」に取り組むと表明した東京都議会議員吉田康一郎氏(民主党)に、公開質問状を送付したが、音沙汰が無い状態が続いている。 
 
※1:「主権回復を目指す会」、「在日特権を許さない市民の会」、「外国人参政権に反対する会」、「せと弘幸BLOG『日本よ何処へ』」、「日本を護る市民の会」、「日本の自存自衛を取り戻す会」「日本女性の会『そよ風』」など 
※2:日本の自存自衛を取り戻す会 活動報告_9月27日左翼フルボッコ動画に対する所感:http://ccp58800.blog25.fc2.com/blog-entry-111.html 


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