2009年10月07日13時19分掲載
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喜多幡佳秀のアジア&世界
スウェーデンでベトナム人農場労働者のストがあった 低賃金と過酷な労働条件に抗議
スウェーデンのブルーベリー農場で働くベトナムからの出稼ぎ農民がストライキに入るという出来事があった。出稼ぎ農業労働者の過酷な労働条件は、自由貿易の下で農産物の市場競争が激しくなる中で世界的に広がっていることがわかる。(『労働情報』特約)
8月11日、ヴェルムランド県(スウェーデン中西部)ブラナスのブルーベリー農場で、約120人のベトナム人労働者が過酷な労働条件に抗議してストに入った。
「私たちは、1日60kg〜120kgのベリーを摘めると言われていたが不可能で、10kg〜30kgだ」とレ・チ・ホンさんは言う。
「これでは旅費も出ない」
労働者たちはベトナムの人材派遣会社TTLCによって雇用され、ラベマ・サービス社の下で働いている。彼ら彼女らは2ヵ月間の滞在のために約2千jを支払い、そのほかに家賃と食費として9千クローナノを支払っている(1クローナは約13円)。賃金は1kgあたり14クローナである。
ベトナム人労働者間でも、労働条件に不満を持ってストに参加する者(主にベトナム北部から来た人たち)と、ストに反対し、怒りを同じ労働者に向ける者(ベトナム南部から来た人たち)が対立した。
この対立を調停するために、ストックホルムから警察官と通訳と大使館スタッフが派遣された。スウェーデン国内では、労働者をだましたベトナムの人材派遣会社や、それを容認してきた政府に対する批判が高まっている。
スウェーデン・フオレストベリー協会のイヴァン・ハルネスク会長は、労働者の不満の原因は、今年のブルーベリーの不作と景気後退による価格下落にあると説明している。スウェーデンではベリーの摘み取りに約6千人の外国人労働者が従事している。
ストは3日間続いた。その後、9人の労働者は契約を破棄して帰国することを決め、他の労働者は仕事に戻った。契約を破棄した労働者たちは、賃金から家賃と食費が差し引かれるため、無一文で帰国することになる。
(『ザ・ローカル』紙8月14日付け等より)
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