2009年10月08日09時51分掲載
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郵政民営化の是非めぐりフランスで市民投票 98%が反対 Kei Yamaguchiさんからの便り
日本では政権交代で郵政民営化見直しが具体的日程に上がっているが、フランスでは政府とラ・ポスト当局が打ち出した株式会社への形態変更に対する市民投票が行われ、220万人が投票,そのうち98%がノン(反対)票を投じた。メディアも連日「市民投票、大成功ー私の郵便局に手をつけるな!」と報道している。パリ在住の市民活動家Kei Yamaguchiさんが伝えるその模様をお伝えする。(日刊ベリタ編集部)
フランスでは、政府とラ・ポスト当局が打ち出した株式会社への形態変更に対する市民投票が、9月28日から10月3日にまで行われ、220万人が投票し、そのうち98%が「政府は民営化をするためにラ・ポストの形態を変えたいと考えています。あなたはその計画に賛成しますか?」という問いかけにノン(反対)を投じました。
メディアも連日「市民投票、大成功ー私の郵便局に手をつけるな!」と報道しているように、この驚くべき数字は当然、市民・利用者は郵便局が今のまま公共サービスであり続けることを望んでいる、ということをはっきり表しています。3日の最終日はフランス全国に約10000箇所の投票所ができましたが、地方では投票したくてもできなかった人たちが大勢いたはずです。それを考えてもこの220万人の投票には大きな意味があります。
私も、2日、3日にはパリ市内に設けられた投票場所のひとつに行ってビラまきなどをしてきましたが、多くの人にどこで投票ができるのか聞かれ、ビラを受け取ってすぐに投票する人が大勢いました。なかには「投票できてよかった、こういう取組みをしてくれて本当にありがとう」と言う人もいたり、3日はパリの端にある小さな郵便局前でしたが、土曜日の午前中は利用者も多く、声をかけると殆どが投票に応じてくれました。若者からお年寄りまで年齢層で違いもなく「民営化はおことわり!」という感じで迷いもなくNonにしるしをつける人たちばかりで、私たちが立っていたのは小さな郵便局の前でしたが、ここでこんな調子なら全国で200万人はいくだろうと実感できました。
これに対して、政府は「今回の投票は信用性がない」、「質問が的確ではない」、「今回の計画は民営化ではない」、「郵政サービスを保護し強化するための計画だ」、「民営化ではないから市民投票する必要はない」などと多くの言い訳をしていますが、この結果に焦りを感じているのは明らかです。
政府が何と言おうと、今回の計画の裏には民営化があり、その第一段階だということは誰もが知っており、だからみんなノンを投じたのです。この大きな結果をすばやく次の段階へとつなげて、政府に民営化計画を撤回させる運動に拡大することを期待します。
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