2009年10月11日09時40分掲載  無料記事
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中国

党幹部学校と高級住宅街のビミョーな関係 「研修生」にオーナーが無償で住まいを提供

  中国共産党の最高権力組織、中央政治局に直属する中央書記処の下部組織である党組織部が有する組織部系統の幹部の教育学校が、上海の浦東地区にある。その名は浦東幹部学院。そして学院と道を挟んで、セレブ向けの高級住宅街「星河湾別墅」が建てられた。物件は大人気で、どんなコネがあっても入手はむずかしいという。だが、物件オーナーの大多数はそこに住んでいない。部屋は別の目的で使われているという。学院と高級住宅街とのビミョーな関係が、中国の政治腐敗問題の根深さを示している。(納村公子) 
 
 北京に中国共産党中央党校(訳注:党幹部の養成学校)があることはよく知られているが、上海にある浦東幹部学院はあまり知られていない。住所は浦東区前程路99号である。興味深いのは、この幹部学院の一方の側が前程路と交差する錦繍路だということだ。上海の人は、学習に来る幹部、役人たちは必ず「前程錦繍、錦繍前程」(訳注:前途は輝かしい、輝かしい前途)だと言っている。 
 
 李源潮が院長を務める浦東幹部学院は、中国共産党上海市党委員会副書記、殷一[王へん+崔]が初代院長を務めた。これは中共中央が司る直属組織である。なるほど、ここに学習に来るのはいずれも組織系統の役人ばかりだ。9月22日、全国各地の省や市の部長たちが浦東幹部学院にやってきた。それは5日間にわたる第17期第4回党大会(四中全会)の考えを学ぶ学習会だ。 
 党中央政治局委員、中央書記処書記、中央組織部の李源潮部長が出席して報告を行った。全国の組織部長を集めた学習会が行われ、四中全会の精神が徹底された。省、市、県の党委員会組織部長、中央の国家機関人事部門の担当者は9回に分けて学習会に参加し、省、市の組織部長は最初の学習会に出席した。 
 
 浦東幹部学院と道を挟んだ向かいには、全国に知られる「星河湾別墅」がある。「星河湾」といえば、広州や北京にある高級住宅「星河湾」が知られている。しかし、上海にも「星河湾豪邸群」があることはあまり知られていない。 
 
 8月1日、上海のシャングリラホテルが行った浦東星河湾住宅の販売会には、購入希望者が600人も訪れた。これは星河湾側の予想を大きく超え、会場のホールから人があふれ、外の廊下には予約を希望する人がぎっしり立っていた。この平均価格は1平米4万6000元(約59万8000円)だという。「浦東星河湾の住宅を買うのはむずかしい。星河湾の黄文仔社長の知り合いでも予約できるとはかぎらない」とは、星河湾公司内部からの情報である。 
 「この住宅を買おうという人の中には、販売員に手数料を払ってもいいという人もいる」という話もある。北京や広州からも200人が購入のためにやってきた。北京の星河湾のオーナーのある人は、常州に出張中にこの販売会を知り、列車のキップが買えなかったために夜明けに常州からタクシーに乗ってかけつけた。 
 
 星河湾が放つ贅沢の魔力は、人を狂わせる。「中国不動産のロールスロイスを打ちだそう」がスローガンの星河湾は、最高の材料で最高の家をつくる。これが星河湾のモットーだ。高価な黒紫檀の内装、四大名石である黄蝋石を配した庭園の中、星河湾建築のマジックは人々を魅了する。ここの管理スタイルは、五つ星ホテル並みの「ゴールドキー・サービス」である。豊かなプライベートな生活が住宅内で完結する。 
 
 星河湾は、2009年に浦東に来た。消息筋によると、星河湾は広州の「商場」(ビジネス界)、北京の「官場」(政界)、上海の「洋場」(植民地都市)をセレブのトライアングルと見なし、中国のゴールデン・トライアングルを打ち出し、各地のハイエンド客につながるプラットホームを拡大、ハイエンド資源の共用を最大化した。こうして客は広州の「商場」から、楽々と北京の「官場」、上海の「洋場」に入ることができる。 
 星河湾のハイエンド消費者は、特殊な「生活と社交のプラットホーム」をつくりあげる。星河湾側の言い方はこうだ。「オーナーは単に高級住宅を購入するだけでなく、それによって最新の生活スタイルと、人も羨むハイエンドな人々との社交の場を手に入れることができる」 
 
 しかし、消息筋によれば、浦東星河湾のオーナーは企業の社長や各地の役人がほとんどで、彼らの多くは自分が住むためでも、転売目的でもなく、目的としているのは道の向かいにある浦東幹部学院の「研修生」だという。企業主はビジネスのために組織部高官を頼り、地方の役人は昇進のために組織部高官の助けがいる。組織部門の役人が上海で数ヶ月学習するとき、星河湾のオーナーたちはコネクションを通して、自分の高級住宅を無償で提供するのだ。 
 まっとうな役人の「研修生」は自分の家族をそこに住まわせ、ロマンチックな役人の「研修生」は愛人やら二号さんやらをそこに住まわせる。役人たちは幹部学院の門を出て4、5分で星河湾住宅に着く。星河湾別墅は「プライバシー生活」で有名だ。品位があって身分を重んじる、これは役人の「研修生」が最も欲しているものだ。役人たちが学習を終えて自分の職場に帰ったあと、星河湾の住まいはまたオーナーの手にもどる。彼らはなんの損失もなく、他人に大きな利便をはかり、今後口利きを頼めば、ふつう役人たちは断らない。星河湾物件が人気の蔭にはそういう理由がある。 
 
 これも役人腐敗の一つだ。ある有識者によれば、組織部門の役人が外に学習に出るとき、企業主はそれをチャンスと見て長期的利用法を考えるという。腐敗はどんなところからでも起きるのだ。李源潮院長は浦東幹部学院の講話で指摘した。 
 「組織の建設とは基本の建設だ。四中全会の精神を貫くことは、組織系統に第一の責任がある。各級の党委員会組織部長は四中全会の精神を深刻に受け止め、現在の党の建設と組織工作が向き合わなければならない大きな問題を喚起し、党の組織建設の責任感、緊張感、危機感を高めなければならない」 
 
原文=『亜州週刊』09/10/11 江迅記者 
翻訳=納村公子 


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