2010年04月21日00時33分掲載  無料記事
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農と食

オーストラリアで、照射ペットフードでネコが次々死亡

  2009年5月、オーストラリアでは、多数のペットが死亡したことから、ベットフードに義務付けられていた照射が中止されました。オーストラリアの照射ペットフードの問題は、カナダのチャンピオン・ペットフーズ社が同国で販売するキャットフード「オリジン」を食べたネコに神経症状が見られたという獣医師の報告が発端でした。08年には90匹のネコが体調を崩し、うち30匹が死んだと報道されています(09年5月30目付「シドニー・モーニング・ヘラルド」)。実験室で飼育していたネコには餌への照射を原因とする神経疾患の報告かおりますが、ベットでの例は初めて。この報道を受け、回礼はオーストラリアのみで製品を自主回収しました。(富山洋子) 
 
  ネコの神経疾患は同国でしか報告されていませんが、オーストラリアが他の国と違うのは、ペットフードヘの放射線照射を義務付けていたことです。しかし、表示は義務付けていません。ドッグフードも照射されていますが、犬の症例は公式には報告されていません(※I)。 
 
  問題のキャットフードは、オーストラリアに輸入される段階で50キログレイ(※2)以トのガンマ線が照射されていましたが、実験室では、26キログレイの照射でも異常が生じたとの報告があります。 
  初期症状は足がふらつく、バランス感覚が失われるなどで、これを食べて3〜6か月経過した時点で症状が現れ、3週間程度しか食べていなかったネコもおり、年齢はl〜15歳までと幅広いようです。 
 
  シドニー大学教育病院の神経科医ジョージーナ・チャイルド博士によると、組織病理学的検査では、ネコたちには主に脊髄そして脳幹及び大脳に異常が生じていたと報告されています。どうして異常が起きたのかは、まだ解明されていません。当初はビタミンA不足が原囚ではないかと考えられましたが、その後の調査でビタミンA不足ではないことがわかりました。 
 
  チャイルド博士は、微量栄養素の不足が原因になっている可能性は完全には排除できないが、それよりも照射によるペットフードの変化が何らかの毒性をもたらしている可能性が高いと言います。 
 
  同国の検疫局と照射を行なっているステリテック社は当初、照射処理は無害だと主張していましたが、トニー・ハーク農相は09年5月に照射の中止を命じています。 
 
  照射食品反対連絡会では、これらの例を痛ましいネコだちからの食品照射への警告だと考えます。思えば、水俣病でも、最初に身体に異常を発したのはネコたちでした。この警告を活かして、一層、食品照射反対の取り組みを盛り上げていくことを期しています。 
 
※1 犬も死んでいるとの情報もある 
※2 コーデックス委員会は83年、食品照射について、AEA(世界原子力機関)が科学的根拠もなく打ち出した10キログレイ以下なら問題なしとする基準を国際規格とし、03年には必要なら10キログレイ以上についても認められるとした 


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