2010年05月16日00時18分掲載
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橋本勝21世紀風刺画日記
155回 「ハート・ロッカー」は、なぜアカデミー賞をとれたのか?
この映画についてはやはり書いておきたい
本年度アカデミー賞の作品、監督、脚本など6部門を受賞した
『ハート・ロッカー』である
アメリカにとって勝ち戦でもなく汚い戦争になったイラク戦争を
題材としたこの映画がアメリカ映画人の圧倒的支持を受けて
アカデミー賞をなぜ取れたのか
それはズバリアメリカの進める「テロとの戦い」を
擁護するものになっているからである
映画の主人公はイラクで爆発物処理をするアメリカの軍曹で
恐れを知らぬ勇敢な男だが、その危険な任務に
快感を覚えている異常な男のようにも思える
映画の最初に「戦争は麻薬』であるという意味深な字幕が出る
それは戦争依存症国家アメリカに対する批判のようにも思える
だが戦闘シーンのほとんどないこの戦争映画で
爆発物の処理に励む彼は、米兵だけではな<
イラクの人たちの命を安全を守るために
自らの命を危険にさらしながら任務を遂行している立派な仕事をしている
いうなれば彼はブッシュがイラク戦争を始める理由とした
「大量破壊兵器」の除去をやっているのだともいえる。
米兵はイラクで結構いいことしているじゃないかと
アメリカ人の愛国心を満足させてくれるのである
さらに映画は戦争の快楽にしびれているように思えるこの軍曹が
実は子ども思いのやさしい男であったというストーリー展開をみせて
彼をアメリカンヒーローに作り上げて見せるのである。
かくて米兵はイラク人を助けているのだと
アメリカ人を安心させてくれるこの映画が
アカデミー賞を取れたのは当然であろう。
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