2010年05月17日00時10分掲載
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中国
台湾系企業のi-Phoneの製造現場で化学薬品による労働災害が発生
2010年1月15日、江蘇省蘇州市にある台湾系企業、勝華グループ傘下の中国聯建科技公司の労働者2000人がストライキを行った。ストライキの発端は年末一時金の凍結だったが、この争議に参加した労働者は職業安全衛生についての要求も掲げていた。工場で有機溶剤による集団中毒事件が発生していることを告発したのである。集団中毒はヘキサンを使ってアップルのi-Phoneのタッチパネルを拭き取る作業現場で発生している。この問題のその後をフォローした「企業の不正行為を告発する大学生・研究者アクション」(Students and Scholars Against Corporate Misbehavior:SACOM)というグループの調査結果のあらましをいながきゆたかさんの翻訳でお送りする。(日刊ベリタ編集部)
レポート:アップル社は有機溶剤中毒の責任を負うべきである
(英 語)http://sacom.hk/archives/636
(中国語)http://sacom.hk/zh/archives/636
2010年1月15日、江蘇省蘇州市にある台湾系企業、勝華グループ傘下の中国聯建科技公司の労働者2000人がストライキを打ち、工場での(有機溶剤による)集団中毒事件を告発した。ストライキの発端は年末一時金の凍結だが、ストライキに参加した労働者たちは職業安全衛生についての要求も掲げていた。ストライキの後、労働者は一時金を取り戻したが、健康問題はいまだ未解決のままである。
集団中毒の噂は2009年の中ごろから工場内で伝えられていた。ストライキの翌日 、蘇州市安全生産監督管理局は記者会見を開き、聯建科技公司の47名の労働者がヘキサン中毒の症状にあり、すでに入院治療を受けていることを明らかにした。
いくつかの報道が全て、労働者はアップル社の生産システムの一環として、ヘキサンを使ってi-Phoneのタッチパネルを拭き取る作業で中毒になったと指摘している。アップル社のサプライヤー生産行為基準には「サプライヤーは、労働者が接触する可能性のある危険な化学的、生物的、物理的要素を確認、評価、制御しなければならない」と明記されている。アップル社は、その生産行為によって引き起こした中毒事件の責任を負わなければならないことは明らかである。しかし残念なことに、アップル社はこれまでこの事件に関する公的な回答を行っていない。
現状をさらに明らかにするために、「企業の不正行為を告発する大学生・研究者アクション」(Students and Scholars Against Corporate Misbehavior:SACOM)は2010年3月、蘇州の聯建科技公司の労働者約20人に対して調査とインタビューを行った。対象者には現在入院治療中の労働者も含まれる。そこで明らかになった事態は以下のとおりである。
≪健康と労働安全≫
労働者は、聯建科技公司が当初意図的に集団中毒事件を隠そうとしたのではないかと疑っている。労働者が自ら健康診断を行い、ストライキに発展してはじめて聯建科技公司は47人が中毒にあることを認めた。現在、労働者と聯建科技公司の間で、被害者の人数を巡り意見の違いがある。また(中毒症状のある)労働者全てが入院治療を受けているわけではなく、症状の度合いに応じて自宅休養したり、すでに職場に戻っている者もいる。
≪偽装≫
労働者によると、公的機関による環境調査のたびに、会社は作業場の緊急通路のドアを開放して化学薬品の濃度を希釈している。
≪労働時間≫
休む時間がない。労働時間は毎週70時間を上回り、週末も休みがなく、現地の法律、電子業界公民連盟およびアップル社の規則に違反している。残業も強制される。
≪実習生≫
実習学生も実際には労働者と同じ作業をしている。労働時間も普通の労働者と変わらない。にもかかわらず学生には毎月500元しか支給されず、その他の給与は学校が受け取っている。
≪生産行為基準≫
インタビューに応じた労働者のなかで、アップル社やノキアなど
の生産行為基準を知っている者はいなかった。
≪コミュニケーション手段≫
労働者によるどのような要求もすべて批判され、苦境を表明するための有効なコミュニケーション手段を欠いている。
レポート完全版(英語)
http://sacom.hk/wp-content/uploads/2010/05/apple-owes-workers-and-public-a-response-over-the-poisonings.pdf
◎SACOMのウェブ
http://sacom.hk/hk/
争議については以下を参照してください。
(参考)「悪徳工場、年末一時金を払え」〜中国でストライキ
http://www.labornetjp.org/news/2010/1263703558798staff01
i-Phoneをお使いの方は、こんなこともあるんだなと時おり思い出してみてください。
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