2010年06月04日01時27分掲載
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ハンガリーで極右政党が台頭 金融危機を背景に第三位の政党に
ハンガリーでは今春の国会議員選挙で極右政党Jobbik(ヨッビク)が全386議席中の47議席を獲得し、第三位に浮上した。党首はGabor Vona(32才)。元歴史教師でハンガリーの経済不振を背景に、グローバリズムに反対し、強固なナショナリズムを唱えている。さらにロマ(ジプシー)やユダヤ人を非難している。
1989年の東欧の共産主義の崩壊以後、Jobbik党はハンガリー国内で最も成功した右翼政党になった。またVona党首はMagyar Garda(ハンガリー警備隊)と呼ばれる結社の創設メンバーの1人であり、そこでは第二次大戦中のハンガリーの親ナチ政党を想起させる制服を着用している。この結社は昨年、違法とされたが解散していない。
ハンガリーは東欧の中でもアメリカ発の金融危機で最も打撃を受けた国に入る。誰かに責任を押し付けたい、という心理がJobbik党の躍進の背景に働いているという。ハンガリーでは第二次大戦中、ロマとユダヤ人が強制収容所に入れられた過去がある。ハンガリーには現在、ユダヤ人が約10万人暮らしている。Jobbik党は「イスラエルなどの外国人投機筋がハンガリーを乗っ取ろうとしている」と訴えている。
その主な支持基盤は農村の失業者だという。
過去2年の間にロマは少なくとも5人殺され、さらにロマの指導者によると、30件近い発砲事件が起きている。
Jobbik党の台頭はハンガリーの国際的なイメージに悪影響を及ぼし、景気回復をいっそう遅らせると見るアナリストも少なくない。
(インターナショナルヘラルドトリビューン4月13日付け記事およびブダペストビジネスジャーナル紙5月10日付け記事を参照)
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