2010年06月20日11時55分掲載
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イスラエル/パレスチナ
イスラエル国内にも人権問題はたくさんある テルアビブで”Gay Pride Parade” 松澤 聡
6月11日、イスラエル経済の中心地であり文化の発信地でもあるテルアビブで『Tel-Aviv Gay Pride Parade 2010』 と言うLGBTの人権アピールを目的としたストリートパーティーが行われ10万人以上の市民が参加した。日本ではストリートパーティーと言うとまだ聞き慣れないものに感じると思うが、レイブミュージックと言われる電子音楽が大型スピーカーを搭載したトラックにダンサーとDJを乗せ町中をゆっくりと進みその後に市民も踊りながらついて行くものや、通りを封鎖してステージをいくつか作り通りをパーティー会場にするものがあり、欧米などでも盛んに行われている市民参加型パレードである。
『イスラエルでLGBTとして生きるにはテレアビブに住むしかない。』と言う友人がいた。と言うのはユダヤ教ではLGBTは認められていない為、宗教者の多い地域ではLGBTである事が差別や暴力の対象にもなる事が多くある、しかし反対に宗教色が限りなく薄くリベラルな考え方を持つ市民が多いテレアビブでは何の差別も問題もなく受け入れられ生活している状況をこの国の宗教への批判も込めて言ったのだろう。
あまり知られていないがイスラエル国内ではLGBTへの差別だけではなく、欧米系ユダヤ人・中東系ユダヤ人・ロシア系ユダヤ人・エチオピア系ユダヤ人の間でパワーバランスから生まれる差別があり平等とは言えない現実がユダヤ人同士でも存在している。
そう言う中で、毎年『Tel-Aviv Gay Pride Parade』が開催され、参加者の中には派手な衣装に身を包んでいたりLGBTの象徴であるレインボーフラッグやイスラエル国旗や手製のプラカードを手に持ち思い思いの自由な表現をする人が沢山いた、その中で『My son is Gay - So what?』(息子はゲイだけど、それが何だって言うんだ?)と言うプラカードはオープンな雰囲気のテレアビブだからこそ主張できることであるが、決して彼らはテレアビブの中だけに主張している訳ではなくLGBTの人権をテレアビブの街から他の街へと繋がる事を願っている。
しかし、来月4日にスペイン・マドリードで行われるGay Pride Paradeではガザ支援船拿捕事件によりイスラエルLGBTコミュニティーのパレード参加を拒否する発表を今月10日に行った、これに対してイスラエルLGBTコミュニティーメンバーは『政治と混同された事に憤りを感じと共に、裏切られた気持ちでいる。』と落胆した。
パレスチナ・イスラエル問題でイスラエルは世界から非難されているのはイスラエル政府・軍による強制的な占領事実から非難されるものであり、この世界からの目によってパレスチナ市民を守れる事もたくさん事実としてある。しかしそれがイスラエル人批判になってしまっては問題の糸口をもっと複雑してしまう。イスラエルにも日本や他の国と同じ様に違った考え方をもつ人間が住み、同じ様に政府に多かれ少なかれ不満を持って生きている。
現在、イスラエルが抱える人権問題は文字通り山ほどあるが、多くの国民は傍観者であり目に見える行動を起こしていないのが現実である。その言う中で行われている『Gay Pride parade』に僕は市民の声があると感じた。
*LGBT = 男性・女性同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの頭文字を取った言葉。
松澤 聡
イスラエル在住カメラマン
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