2010年06月22日17時17分掲載
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米国
銀行規制案にウォール街が最後の大抵抗
22日付けインターナショナルヘラルドトリビューン紙によると、アメリカの議会で進められている新たな銀行規制法案にウォール街が必死の抵抗をしているようだ。今回の銀行規制法案はオバマ大統領のアドバイザーで、元連邦準備制度理事会(FRB)議長ポール・ボルカー(Paul A. Volcker)にあやかり「ボルカールール」と呼ばれている。その骨子は次の点のようだ。
■銀行は自己資金をリスクの高い投機目的に使ってはならない
■銀行は傘下のヘッジファンドや、M&Aなど未公開株の売買を行うプライベートエクイティ部門を売却する
ボルカーが中心となって進めているこの規制案は「銀行本来の仕事に立ち返れ」、という主旨だろう。しかし、今、ウォール街の意を汲むロビーストや議員らが何とかボルカー・ルールに抜け穴を作ろうと業界をあげて動いているようである。その抜け穴とは同紙によれば次のようなものだという。
■銀行は投資顧問業務や保険会社の保有は継続できる
■銀行がヘッジファンドやプライベートエクイティ会社に投資するのは認める
■銀行が規制に従ったシステムを作るまで7年の猶予を与える
銀行の自己資金は投機に使えなくても、顧客の金はこれまで通り投機に使えるようにする、というのがボルカー・ルール修正の主要なポイントであるという。
こうした修正案が通れば、JP Morgan Chase銀行はHighbridge Capital Management unitを、ゴールドマンサックスはGlobal Alpha franchise など巨大ヘッジファンド数社を、Morgan Stanley はFront Point Partners や小さなヘッジファンド数社を引き続き保有することができる。もし修正されずにボルカー・ルールが通れば、これらの銀行はリスクの高い投資を行う上記の保有企業をみな売却しなくてはならなくなる。
規制案が審議されている間も、銀行の中にはボルカー・ルールの修正を早くも見越して様々な動きがある。たとえばJP Morgan Chase はブラジルの投資会社Gávea investmentを買収しようと動いているという。またシティグループは自行のヘッジファンドとプライベートエクイティ部門を拡大するため、投資家から資金を集める方針だという。
議員たちは週末にトロントで開催されるG20の前に、少なくとも今週木曜までに決着をつけたいようだ。
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