2010年07月08日00時58分掲載  無料記事
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労働問題

関西の生コン関連産業で無期限ストが勃発拡大中! 大企業支配を覆す高度な闘いに刮目せよ  戸田ひさよし

  ほとんど全てのみなさんには全く知らされていないし、信じられない事だろうと思うが、実はこの7月から、関西では「全ての工事の土台」たる生コンとその関連産業において、大幅賃上げ等労働条件改善とその原資を作る業界改善=「2010春闘」の解決を求めて無期限ストライキが開始され、拡大しつつある。現在、大阪府一円と兵庫県の西宮以東の地域で多くの生コン工場が止まり、大手の建設現場のかなりの部分で工事がストップしている。また近畿2府4県で生コンの原料たるバラセメント(粉セメント)の輸送のかなりの部分が停止されている。 
 
◆広がる無期限スト 
 
 以下、具体的は展開を述べる。 
7/2(金):大阪広域生コンクリート協同組合に対して3労組(連帯ユニオン・生コン産労・全港湾)が無期限ストを通告:大阪府一円で生コン製造や出荷を停止させる。 
 
7/5(月):阪神地区生コン協同組合に対しても、3労組が無期限ストを実施:兵庫県西宮以東の地域で生コン製造や出荷を停止させる。 
 
7/6(火):近畿バラセメント輸送協同組合に対して3労組が無期限ストを通告し突入:近畿一円でセメントメーカーのSS(サービスステーションからの出荷を止める。 
 
近畿圧送経営社会に対して圧送労組と連帯ユニオンの2労組が、「春闘事態が打開されなければ7/12(月)早朝から無期限ストに突入する」と通告。 
 
※「圧送」とは、建設現場において生コンをポンプ車で受け取り、圧力ホースを使って生コンの打設箇所に流し込む業務。     従って「圧送スト」となったら、仮に生コンを運び入れたり建設現 
場製造したしても生コン打設が出来ない=工事が全く出来ない=生コンを廃棄しないといけない(生コンは「製造後90分以内に打設しなければならない」という品質規定があるので)、という大変な事態になってしまう! 
 
 労組側は、まずは大阪府一円と兵庫県の西宮以東の地域に力を集中して勝利妥結もぎ取りつつ、順次他府県にもストを拡大するなり背景力として使うなりして近畿一円での勝利を目指している。 
 
 「ストライキ」という言葉が死語に等しくされてしまっている日本社会においてこれは凄い事態ではないか! 
 
  この闘いは今年急に起こったわけではない。 
  関西の生コン関連産業においては、連帯ユニオン関西地区生コン支部(略称関生(かんなま)」・「関生支部」)を主軸に毎年闘いが継続され、無期限ストを何度も行なっている。昨年春闘では生コン業種で1万5000円、セメント輸送で1万円、圧送で6500円もの大幅賃上げを勝ち取ってもいる(!) 
 
  参考:09春闘総括 
http://www.kannama.com/new-news/09.5.14/09syuntousoukatu1.html 
 
◆中小企業と労働者が手を結ぶ 
 
  しかもこれは「単純な労資対決」構図の労働運動ではない。新自由主義政治・大企業支配を覆していくのに最も有効な闘いとして、高度な戦略に基づいて組み立てられた闘いなのだ。 
 
1:個別企業における闘争ではなく、最初から徹頭徹尾「産業別労組としての闘い」として組み立てられている。日本的な「企業内労働運動」ではなくヨーロッパ型の「産別労働運動」なのである。 
 
2:最初から「主敵は大企業(セメントメーカーやゼネコン)」と位置づけ「大企業による中小企業・協同組合支配をやめさせ、大企業に不当利得を吐き出せる」事を戦略目標とした闘いである。 
 
3:中小零細企業で働く自分らの「賃上げ等の原資(財源)は大企業の不当利得にあり!」という認識を徹底した闘いである。 
 
4:業界の中小企業が「個社どうしの過当競争」や労働者搾取強化の方向に向かうのではなく、「大企業の不当支配・不当利得と闘って業界と自社の安定を図る」方向に向かう事を促す、一貫した中小企業対策の下での闘いである。のために中小企業による協同組合の結成拡大・機能強化を労組として積極的に賛同支援しつつ、「協同組合として大企業に要求して賃上げ原資を出さ、業界改善を飲ませる」よう、個別企業と協同組合の「尻叩きをする」運動である。 
 
5:生コン関連産業の各社が存続し品質維持出来るためには、生コン価格1立米1万8000円への適正化値上げが不可欠である。これ無しには生コン関連業界で大倒産の地獄が始まってしまう。この点は関西の業界労資の共通認識であり、現に「生コン関連業界危機突破!6/27総決起集会」2300人の大結集で「行動実施」も含めて確認されてもいる。 
http://www.kannama.com/news3/10.6.28/toppasyuukai.html 
 
◆無視するマスコミ、実質報道管制」状態 
 
  これらの情報は全てマスコミも承知している。「6/27総決起集会」の取材案内や動画紹介も各社に送っているし、「生コン関連業界ゼネスト」が開始された事も企業筋や警察筋から当然情報が入っている。 
  しかし、業界新聞を除く一般のマスコミは、ただの一社もこれらの凄い事 態を1行たとも書かず、1秒たりとも放映しない! 
だから、今大阪を中心とした関西で「生コン関連業界ゼネストが開始」という大事件が起こっているのに、一般市民は誰も知らない。議員や行政関係者もほぼ誰も知らない。工事関係者だけが知っているに過ぎない。 
 
  補足して言うと、労組側から社会一般向けの広報宣伝もストライキ闘争に関しては、現在までのところ無きに等しい。これは全く残念な事だが、一義的にはストライキ闘争の組み立て実施で手一杯で余裕が無いことによる。 
  ほかの事情としては、日々刻々様々な分野で情勢が複雑に流動していて書ききれない・書きにくい・書いて固定化する事で古くなった情報で誤解を生んでしまう、等々の面がある。 
  が、一番の大きな広報阻害要因としては権力がウの目タカの目で弾圧ネタを監視している現実の中では、闘争が決着安定するまでは、「威力業務妨害」とか「共謀」とか「指令」とかにこじつけられる可能性のある報告や、こちらの手の内や「戦況把握」に関わるような記事は用心せざるを得ない、というやむを得ざる事情がある。 
 
参考:連帯ユニオン関西地区生コン支部HP 
http://www.kannama.com/index-2.html 


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