2010年09月11日23時54分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201009112354126
中国
残業代を払え!数百人の女性たちがストライキ 深セン市の日系企業ブラザー工業で
中国深セン市で操業している日系企業ブラザー工業で労働条件の改善を求めて数百名の労働者が作業を中断、会社側に要求書を出して交渉を求める動きが9月7日あった。現地の報道では現在生産は正常に戻っているが、交渉は断続的に行われている模様。現地報道によると、同工場は低賃金・長時間労働で労働者の不満が充満していた。深セン新聞ネット『晶報』紙2010年9月8日は次のように伝えている。(稲垣豊
ブラザー工業(深セン)有限公司は、インクジェット式の複合型プリンターおよび関連消耗品を生産する日系企業で、2002年10月に設立され、2003年11月に正式に生産を開始した。宝龍碧嶺区域にある敷地は7万平方メートルで、およそ1万人を雇用するブラザーグループ最大の海外拠点の一つである。
ー以下、深セン新聞ネット9月8日報道
昨日(9月7日)午後一時、〔深セン市〕龍崗宝龍工業区の兄弟工業(深セン)有限公司(以下、ブラザー工業)の数百名の労働者は、新たに導入された管理制度および時間外手当などに対する不満から、工場敷地内で集まって会社に対して再検討を要求した。龍崗区および当該地区の政府部門の担当者らが現場に駆けつけ対応し、労働者への説得作業に当たっている。労働者たちは冷静で、過激な行動はみられない。
連絡を受け、記者はすぐに龍崗区宝龍工業区のブラザー工業に駆けつけた。現場では、ベージュ色の制服をきた女性労働者たち数百人が、敷地内の空き地に出揃い、仕事を放棄していた。警察等がブラザー工業の正門前に警戒線を張り、工場関係者以外の立ち入りを禁止している。
あるブラザー工業の労働者によると、この企業は日系企業で、おもにプリンターを製造している。彼女によると、2003年3月に入社したが、ここでの労働は非常につらく、毎日の作業量も多い。朝8時から夜9時半まで働かなければならず、それなのにお昼休みも1時間しかない。労働時間は毎日12時間半にもなる。時間内に終わらない場合は残業で対応して残業代も支払われ、一か月1500元ほどの収入があった。
しかし今年7月1日から深センの最低賃金が引き上げられ〔900元→1100元〕、それに伴って残業手当も引き上げられたが、会社側はコスト引き下げのために、賃金を低く抑えようとしてきたという。会社が制定した新たな規則では、その日のノルマは規定時間内に終えなければならず、残業時間を削減せよということだった。こうして、労働強化がおこなわれ、お昼休みの1時間以外は、12時間半ずっと止まることなく作業を強制されることになった。「忙しすぎてお茶を飲む時間もない。トイレにいくにも他の労働者に作業を変わってもらわないと、ノルマを終えることができないくらい」と労働氏は訴えた。
それだけではない。休暇にも影響している。
「午後にはノルマのない日もあるので、その時は休みになる。だけど別な日にノルマがたくさんある場合には週末の休暇をつかって生産をすることになるが、その際には以前の休みを振り替えるとかいって、休日出勤の時間外手当をつけない。いま工場は残業をさせないという方針なので、賃金は以前に比べて数百元も少なくなり、作業量は大幅に増加した。これが今後もずっと続くようであれば耐えられないし、そもそも体がもたない」
別の労働者はそう語る。だからみんなで一緒に仕事を停止し、みんなで集まって、会社に改善を求めたという。
工場の入り口に警戒線が貼られているので、記者は工場に入ることはできない。工場の責任者も現れないので、この件について工場側の見解を聞くことができない。
その後、龍崗区共産党委員会宣伝部への取材で、龍崗区および地域の関係部署労働部門などが、情報収集および労働者への説得などにあたっているという。
宣伝部の担当者によると、昨日(7日)午後一時ごろ、ブラザー工業のトップか会社を視察に訪れた際、一部の労働者たちが休暇の入れ替えや休日出勤の賃金を2倍にするようにという要望を出した。しかしその場では回答を得られなかったことから、数百名が作業を停止して、会社に回答を迫ったという。
地区の関係部門の担当者らが現場で説得などに当たっている。労働者は冷静で過激な行為には及んでいない。昨日(7日)の午後六時ごろまでに生産は正常化し、関係部署が会社側と労働者代表との交渉の調停にあたっている。
=========
【インターネット上の書き込み】
今日(9月7日)、ブラザー工業株式会社の小池利和〔代表取締役社長〕が深センのブラザー工業の視察に訪れた際、賃金・残業代のあまりの低さ、休みの入れ替え、生産ラインの速度の速さ、厳しいノルマ、立ちくらみするほどの業務負担などに不満を持つ全工場の労働者が改善を求めたが、会社側は回答を先延ばしにしたので、ストライキに突入した。労働者たちは正面ゲートと裏門を封鎖したので、交通が一時混乱し、警察などが封鎖線をはった。
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。