2010年09月12日00時14分掲載  無料記事
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政治

現在に対する見識と構想を(3)陰謀史観は好きじゃないけど  三上治

  僕は陰謀史観というものはうものは好きではないし、政治を陰謀と結び付けて論じることは避けてきた。だが政治の中には機密という名において隠された部分があり、密約などの例があるように、見えないところで重大なことが運ばれることも知っている。さしてさらに政治的力は政治的主題や事柄とは関係のないところで働くことがある。関係のない事件や行動が政治的含みを持った行動であることがあり得る。ここでは想像力を働かせることが重要である。 
 
  例えば、鈴木宗男の最高裁決定である。上告が却下されたことだが、そのタイミングに引っかかるところがあるのだ。ズバリ、これは民主党代表選と間連があるのではないかということだ。テレビでみていると菅の決起集会で元参院議長の江田五月は「そろそろ政治とカネの問題からの卒業を促している。その回答が菅首相である」と述べている。また、仙石官房長官は「ひとりひとりの議員が問われるべきことだ」として小沢批判と結び付けている。菅支持の閣僚達の発言は同じである。 
  要するに援軍きたるというようにこの決定を使っている。この捜査が国策捜査と呼ばれたように。小泉と検察が手を組んで政敵を葬るために動いた事件であったことが忘れられている。当時、鈴木宗男と対立していた田中真紀子は秘書給与問題で議員辞職を迫られ、辻元清美は逮捕されている。ロッキード事件以降、検察はマスメディアと組んで社会的正義行使者のようにたち振舞ってきたが、その暴走が指摘され批判が強くなってきたのは最近のことである。鈴木宗男は国策捜査と呼べる権力の手法に抵抗し、検察やその背後の官僚の意志を暴き、官僚主導の政治批判に貢献してきた。最近では官房機密費の沖縄知事選への流用問題など重要な問題提起などをしてきた。今回の決定は官僚の側の報復という性格が強いが、このタイミングには民主党代表選における小沢批判が働いているのではないか。 
 
  民主党が政権交代において掲げた「官僚主導の政治批判」に対して官僚―メディア―アメリカが押しつぶそうとしてきたことは明瞭であり、改めて述べないがそのターゲットは小沢一郎だった。菅政権の民主党なら彼らは取り込みやすいし、恐れてはいない。菅や彼を支持する民主党の面々はなぜ、官僚批判が出てきたか、それが国民に支持されたか、そしてまたそれに対する有形無形の抵抗が続いてきたかを知るべきだ。自民党と同じ体質になり政官癒着ならぬ官菅癒着に転げ落ちるのを誰もが危惧している。菅の裸踊りなど見たくないのだ。 


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