2010年09月28日01時45分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201009280145022

反貧困

秋のフェアトレード・チョコレート

  フェアトレードの専門ブランド「ピープル・ツリー」が秋冬限定のフェアトレード生産によるチョコレートを売り出す。ラム酒がミルクチョコレートの中に詰められた「ラム」、エスプレッソとミルクが口の中で溶け合う「カプチーノ」、ヘーゼルナッツパウダーを練り込んだ「プラリネ」など、種類も豊富だ。 
 
  特徴はまろやかな口どけだという。その理由は最大72時間かけて行うスイス伝統の「コンチュ(練り)」にある。一般のチョコレートは大豆レシチンなどの乳化剤を使って練り時間を短縮することが多いが、ピープル・ツリーのチョコレートはスイス伝統の練りの技術で勝負している。 
 
  フェアトレード専門のブランド「ピープル・ツリー」はアジア、アフリカ、南米など15ヶ国、50団体が手作りで生産した、衣料品、アクセサリー、食品、雑貨などを扱っている。WFTO(世界フェアトレード機関)の認証を受けており、公正な価格の支払いやデザイン・技術研修の支援、継続的な注文を通して、発展途上国の生産者や農民などを支えている。 
 
  このチョコレートでもボリビアの有機カカオや、フィリピンのネグロス島で栽培された有機黒糖など、零細な農家が育てた原料を使用している。これらもフェアトレードの枠組みで生産されたものだ。しかも原料の多くはスイスの有機認証機関「bio inspecta」の厳正な審査に合格したオーガニック素材を用いている。 
 
  主原料であるカカオ豆の栽培現場は、これまで児童労働の温床とされてきた。特にガーナやナイジェリアなど西アフリカでは数10万人もの児童が低賃金で危険な農作業に携わっている。ピープル・ツリーでは大人が公正な賃金で、環境に負荷をかけない方法により生産した原料だけを使用している。 
 
  このチョコレートに使われているカカオの生産者団体の1つがボリビアの小規模農家組合「エルセイボ」だ。1960年代、カカオの生産者たちは輸送手段を持たなかったため、仲買人に安く買い叩かれたり、計量をごまかされたりしていた。しかし、1977年に農民たちは共同でトラックを購入し、自力で市場に出荷を始めた。さらに組合を作った。83年には途上国の協同組合として世界で初めて、自分たちでカカオ工場を設立した。このチョコレートにはこうした農民の歴史が盛り込まれているのだ。しかも、化学肥料も農薬も一切使っていない有機栽培だという。 
 
  チョコは単に貧しい人への寄付ではない。商品の付加価値の高さが売りである。チョコレートの多くは融点が高く溶けにくい「植物性油脂」をココアバター(カカオ豆の脂肪分)の代用にしているのに対して、ピープル・ツリーのチョコレートは30度前後で溶ける本物のココアバターを100%使用。本物のココアバターは高価で溶けやすく保存しにくい。そのため秋冬の限定販売となる。 
 
  販売は11月上旬から。ピープル・ツリー直営店(自由が丘店、表参道店、モザイク銀座阪急店)、通信販売(カタログ、オンライン、モバイル)、および全国の取扱店にて。フェアトレード・チョコレートは1995年の販売開始から毎年ファンを増やし、販売数を伸ばしているという。 
 
  50gシリーズ(290円) が8種、100gシリーズ(580円)が3種、ハートチョコ250g (2400円)の全12種類。昨年は85万枚を販売したが、今年は92万枚を見込む。 
 
■エルセイボ 
http://www.elceibo.com/ceibo/jp/about_elceibo.html 
■ピープル・ツリー関連記事 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201003180011454 
■ピープル・ツリーの創設者サフィア・ミニーさんのブログ 
「サフィアが行く」 
http://blog.peopletree.co.jp/ 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。