2010年11月09日23時03分掲載  無料記事
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米国

「分裂してこそ繁栄あり」 米中間選挙の結果を分析するジョナサン・ラウチ

  インターナショナルヘラルドトリビューン紙(11月9日付け)にジョナサン・ラウチ(Jonathan Rauch)という名の論客が米中間選挙に対する興味深い論評を出していた。今回の民主党の敗北は近年の米政治の常態だというのである。 
 
  民主党にとって今回の敗北は2年後の次期大統領選への黒雲では決してない、とラウチは言う。1994年(ビル・クリントン大統領)や2006年(ジョージ・W・ブッシュ大統領)の中間選挙を振り返ると、中間選挙で敗北した大統領は再選されていると言うのだ。 
 
  このようなことが起きる理由をラウチは民主党と共和党の距離が開いてきたことに起因すると分析している。大恐慌からレーガン時代くらいまでは大統領がどちらの政党であれ、民主党が常に議会を支配していた。それでも民主党と共和党は政治的に現在ほど距離がなく、超党派でしばしば動いていたため、政治が機能していたというのである。 
 
  しかし、近年、両党の開きが強まるにつれて、その中間の無党派層が拡大し、これらの人々がしばしば現職に反対票を投じてバランスを取っていると彼は言う。こうした大統領と議会との「ねじれ」はむしろ、双方が歩み寄ることを強いるために政治的には良い、というのだ。 
 
  ジョナサン・ラウチはナショナルジャーナル誌(National Journal)の編集者であり、ブルッキングス・インスティテューションの客員研究員でもある、と紹介されていた。ナショナルジャーナル誌は政治を主に扱う週刊誌で、現在はデビッドG.ブラッドリー率いるアトランティックメディア社(「アトランティック・マンスリー」を出版している)の傘下にある。 
 
  ラウチのホームページを見ると、経歴が紹介されている。生まれはアリゾナ州フェニックスで、1982年にイェール大を卒業した。卒業後はまずノースカロライナ州の地方紙ウィントン・セーラム紙の記者になった。2年後の1984年にはワシントンDCに移り、ナショナル・ジャーナル誌の記者となる。経済・財政に関する記事を書いた。1990年にはジャパン・ソサイアティ・リーダーシッププログラムで半年間、日本に滞在もしている。この体験をもとに日本文化は西洋と異質であるという日本論,「アウトネーション、日本の心をたずねて」(1992)を書いている。1995年にはロンドンに1年間、滞在し「エコノミスト」に寄稿した。 
 
  これまで寄稿したのはナショナルジャーナル以外に、ハーパーズマガジン、ニューヨークタイムズ、フォーチュン、エコノミスト、ワシントンポスト、ロサンゼルス・タイムズ、ニューリパブリック、ニューヨークポストなど。 
 
  ラウチの扱うテーマには経済・財政以外にも、農業、動物愛護、ゲイの結婚など多岐に渡っている。 
 
著書には「政府の終焉〜なぜワシントンは機能麻痺に至ったか〜」「ゲイの結婚〜なぜゲイの結婚はストレートやアメリカ全体にとってもよいのか〜」「21世紀へのアメリカの財政」「優しい尋問者たち〜自由な思想への新たな攻撃〜」などがある。 
 
ジョナサン・ラウチ氏のホームページ 
http://www.jonathanrauch.com/ 
 
ナショナルジャーナル誌のホームページ 
http://nationaljournal.com/ 
 
「インターナショナルヘラルドトリビューンの論客たち 11」 
 
村上良太 


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