2010年11月26日10時43分掲載
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欧州
仏がユダヤ人のドイツへの輸送を初めて謝罪 米国でのTGV入札が狙い
フランス国鉄(SNCF)のギヨームー・ペェピ総裁はこのほど、第2次世界大戦中に同鉄道を使ってユダヤ人をドイツの収容所に送り込んだことを認め、初めて正式に文書で謝罪した。だが謝罪は、米国フロリダ州などの高速鉄道建設の入札にフランスの超特急列車(TGV)を参加させる狙いがあったと見られ、同州の「ユダヤ人虐殺の教育普及と資料センター」副会長ロジッタ・ケニスブルグ女史は、「的外れなことをしないで、謝罪するなら犠牲者に直接すべきだ」と述べ、総裁の謝罪を拒絶している。(パリ=飛田正夫)
フランス国鉄は貨車を使って、パリから約76000人のユダヤ人をドイツに輸送したといわれる。
米国の高速鉄道はフロリダ州とカリフォルニア州で計画されている。パリジャン紙やルモンド紙によるとフロリダの超特急列車の入札にはドイツのシエメンや日本の日立、中国が競争相手として参入していると指摘している。
両州では、入札に参加する企業がユダヤ人輸送に関わっていなかったかどうかを追及する動きが出ている。カルフォルニア州の民主党議員ボブ・ブルメンフィルド氏は、契約候補のすべての企業に1942年から1944年のユダヤ人輸送とのかかわりを明示する法案を要求していたが、アーノルド・シュワルツェネッガー知事はこれを拒否している。
ペェピ総裁は、在米ユダヤ人組織などと接触しながら今年8月頃にユダヤ人輸送への関与を認める資料を米国側に提出、今月12日に総裁がこれを初めて文書で発表した。
フランスからドイツ収容所へ輸送されたのは、ユダヤ人だけでなくジプシーと呼ばれるロマ人やチガン人、同性愛者の人々などマイノリティー集団もいた。
ペェピ国鉄総裁が米国でユダヤ人への謝罪に奔走している今夏、フランス国内ではロマ人やジタン人らがユダヤ人の歴史を繰り返すように、フランス内務省からの知事通達で人種差別的な特定指定を受けた。特にロマ人たちは不法占拠の掘っ立て小屋を倒壊されて、国外追放の憂き目にあっていた。
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